日産「GT-R」まもなく生産終了… またしても「Rの伝説」が消滅へ 「次世代GT-R」はもう出ないのか? 3世代にわたる「歴史的名車」どんな“存在”だったのか

日産のスーパースポーツカー「GT-R」が2025年8月、生産を終了します。日本の自動車史においても深くその名を刻んだGT-Rとは、クルマ好きにとってどんな存在なのでしょう。

「GT-R」はなにが特別だった?

 多くのクルマ好きにとって気になる存在であろう、日産のスーパースポーツカー「GT-R」。その現行モデルであるR35型が2025年8月に生産を終了します。
 
 古くは「ハコスカ」、さらにはBNR32型をはじめとする通称「第2世代」GT-Rを経て、現行GT-Rへと進化。その歴史に幕を下ろそうとしていますが、そもそもGT-Rは、クルマ好きにとってどんな存在なのでしょうか。

「GT-R伝説」 まもなく迎える終焉
「GT-R伝説」 まもなく迎える終焉

 今から遡ること56年前の1969年2月。プリンス自工との合併を経た日産の技術の粋を集めた「スカイライン2000GT-R(PGC10型)」が誕生しました。

 プロトタイプレーシングカー「R380」のノウハウが取り入れられ、量産車として世界初となる4バルブDOHC 機構が採用された名機「S20型」エンジンを搭載した、まさに「ツーリングカーレースで勝つことを運命づけられて誕生した」クルマです。

 その後、1970年には、ホイールベースを70mm短くした2ドアハードトップモデル(KPGC10型)へ進化。

 これらがいわゆる「ハコスカGT-R」と呼ばれているモデルです。

 勝たなければならないことが命題であったスカイラインGT-Rは、1969年5月に開催された「JAF グランプリ」にてデビューウィンを飾り、1972年10月のワークス活動休止までに通算52勝という、類をみない記録を打ち立てています。

 その後、1973年1月にフルモデルチェンジした「ケンメリGT-R」(KPGC110型)へと進化しましたが、時のオイルショックおよび排ガス規制によってクルマの省エネ、パワーダウンが余儀なくされ、販売からわずか4ヶ月で生産終了に追い込まれます。

 結果、総生産台数約200台(諸説あり)という、“幻のGT-R”となってしまったのです。

 ベースモデルであるスカイラインの生産および販売は継続されたものの、GT-Rの系譜はここで一度幕を閉じ、次世代のGT-Rがデビューするまでに16年もの歳月を要します。

 こうして、待望の復活を遂げたのは1989年8月、8代目スカイラインである「R32型」をベースに開発されたBNR32型だったのです。

 このクルマのために専用設計された2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボエンジン「RB26DETT型」は、当時の規制値の上限にあたる280psを発生。

 駆動方式はFRをベースにしつつ、路面状況に応じて前後輪の駆動力を配分する電子制御トルクスプリット4WDシステム「アテーサE-TS」を採用しています。

 そして、このBNR32型もまたレースで勝つことを運命づけられて誕生したモデルといえます。

 その期待に見事に応え、1990年~1993年に開催されたグループA(全日本ツーリングカー選手権/JTC)レースでは、4シーズン・29戦29勝0敗という、圧倒的な強さを誇りました。

 それと同時に、国産車のチューニングレベルを格段に引き上げ、そして大いに盛り上げたモデルでもあります。

 また「打倒GT-R」を掲げて挑んでくる、カタログ値280psモデルを中心とした国産スポーツ勢や、圧倒的なアドバンテージを誇っていた仇敵・ポルシェとの差がグッと縮んでいったのもこの時代からといえるでしょう。

 そして1995年1月、スカイラインGT-RはBCNR33型へとフルモデルチェンジを果たします。

 当時としては異色だった「東京オートサロン」会場における華々しいデビューを飾り、ドイツ・ニュルブルクリンクの名サーキットでBNR32よりもタイムを削ったという「マイナス21秒ロマン」のCMにも、心を鷲掴みにされたファンも多かったはずです。

 対して、BNR32型よりもボディが大型化されたことに難色を示すファンもいました。

 しかし、確実に進化を遂げたBCNR33型は、レースおよびチューニングシーンでも実力を発揮。

 バブル崩壊とともに日産がこのモデルの開発を断念していたら…現在まで続く“GT-R伝説”はここで途切れていたかもしれません。

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