登場から8年経ったトヨタ「ルーミー」なぜ今でも販売好調? “軽じゃないスライドドア車”のニーズにハマった!? 2025年中に全面刷新か?
2025年中に全面刷新の可能性も!?
トヨタの販売店ではルーミーの人気をどのように見ているのでしょうか。
「ルーミーはいろいろなお客様から選ばれています。ヤリスのようなコンパクトカーを使うお客様に子供ができて、ルーミーに乗り替えることがあります。
ルーミーなら、ベビーシートやチャイルドシートを装着しても車内に余裕があり、スライドドアで子供と一緒の時でも乗降性が良いです。
また子育てを終えたお客様が、3列目シートが不要になり、(ミニバンの)ノア、ヴォクシー、シエンタからルーミーに乗り替えることもあります。
乗車人数の違いとボディの大きさを除けば、ルーミーの使いやすさはミニバンに近く選びやすいです」

ルーミーは背の低いコンパクトカーからの乗り替えと、ミニバンからのダウンサイジングという、2つの需要に支えられています。
そしてルーミーのような全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた車種は、軽自動車に多くラインナップされ、いずれも販売が好調です。
筆頭はホンダ「N-BOX」で、2017年から2024年まで、大半の年で国内販売1位を獲得しています。また、軽自動車で販売2位のスズキ「スペーシア」、3位のダイハツ「タント」も、全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着しています。
そうなるとN-BOXやタントに魅力を感じながら、エンジン排気量などに余裕のある小型車サイズのコンパクトカーが欲しいということで、ルーミーを購入するユーザーもいるでしょう。
特にトヨタは、2024年の国内販売において、小型/普通車市場のシェアは50%、軽自動車を含めた4輪車全体でも33%(レクサスを含む)を占めました。小型/普通車の大規模メーカーとなるトヨタの信頼性に魅力を感じて、コンパクトカーのルーミーを買ったという人も多いはずです。
さらに全高が1700mmを超えるスライドドアを装着した車種は、軽自動車には豊富ですが、小型車はルーミーとOEM供給元のダイハツ「トール」、スズキ「ソリオ」とそのOEM車などに限られています。
ホンダは「フリードクロスター」に2列シート車がありますが、全長は4310mmですからルーミーよりも約600mm長く、全幅もクロスターは1720mmなので3ナンバー車です。
つまりスライドドアを装着する背が高くボディの小さなクルマを軽自動車以外で探すとなると、実質的にルーミーとソリオしかなく、選択肢が少ないという事情もありってトヨタブランドのルーミーが根強い人気を得ているのです。
ソリオは軽自動車のイメージが強いスズキ車とあって、販売面では不利ですが、同社の小型/普通車では国内の最多販売車種となっており、設計が新しいこともあって商品力は高いです。後席の座り心地、走行安定性、静粛性、乗り心地、燃費、安全装備などではルーミーを上まわります。
その一方でルーミーは、汚れた時に清掃をしやすい荷室、インパネ周辺の豊富な収納設備など、使い勝手が優れています。
スライドドアを備えた背の高いコンパクトカーのルーミーとソリオは、日本の使用環境に適した少数精鋭のモデルとなっており、この2車を比べて選ぶと良いでしょう。
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設計の古くなったルーミーでは、フルモデルチェンジが気になりますが、販売店によると「現在のところ(2025年1月時点で)フルモデルチェンジの話は聞いていません。納期は約3か月で注文も入れられます」とのこと。
先に述べたダイハツの認証不正問題により、開発と発売が延期されている可能性も高いです。
それでも発売から8年以上を経過するため、2025年中には次期ルーミーが登場すると思われます。
ボディの基本的なスタイルや特徴は踏襲されますが、プラットフォームやパワーユニットはコンパクトSUVのトヨタ「ライズ」/ダイハツ「ロッキー」と同じタイプに刷新され、先に述べた走行安定性や乗り心地などの欠点が解消されるはず。
ライズ/ロッキーと同じハイブリッドを用意する可能性も高く、期待の新型車になるでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。































