名古屋~犬山~美濃加茂が「信号ゼロ」に!? “地獄渋滞”国道41号を完全スルー「名濃道路」計画のスゴさとは ブツ切れ高速の“全通”へ沿線自治体の思惑は
名古屋市から犬山、美濃加茂方面へ信号ゼロで直結する「名濃道路」という道路計画があります。実現すれば一体どう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。
名古屋高速を美濃加茂へ延伸
名古屋市から犬山、美濃加茂方面へ信号ゼロで直結する「名濃道路」という道路計画があります。
実現すれば一体どう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。
名濃道路は、2021年策定の国土交通省「新広域道路交通計画」で調査路線に挙げられているものです。
昭和末期からあった構想で、先行工区として整備され、開通したのが「名古屋高速11号小牧線」です。名二環に接続する1号楠線をさらに北へ延伸し、小牧市街まで直結させたもので、2002年に全通しています。
しかし、その先は未整備のまま。犬山市内への国道41号(名濃バイパス)は恐ろしい渋滞区間となっていて、通過交通は「1日5万台」に達しながら、信号待ちに信号待ちが重なって、容量も足らずパンク状態に。小牧~犬山はほとんどの区間で平均速度は30km/hというありさまで、ほとんど動かない区間も複数ありました。
そこで事業化されたのは、国道41号の「6車線拡幅」です。2018年から徐々に開通していき、2024年2月に五郎丸交差点までの7km全線が悲願の6車線化完成を果たしました。
ところで、そもそもの最終構想である、先述の「犬山・美濃加茂方面へ高架で信号ゼロ」という話はどこへ行ったのでしょうか。
国道41号の6車線化が事業化したのは2017年のこと。その際の計画段階評価では、「6車線化」との比較案として、「交差点改良+部分高架化」という案がありました。
その案では、特に渋滞がひどい新宮2丁目~新宮2丁目北の約2kmを立体交差化して信号スルーにするというもの。たった2kmの立体化でも、6車線案に対して45億円も「高くつく」という試算となり、高架化の夢はいわゆる“かませ犬”のような役回りで終わってしまいました。
しかし、2021年の国の計画でも依然として明記されている立体化。当然、地元は根強い希望を抱いています。
犬山市議会では2023年2月の定例会でも「名濃道路はどうなっているのか」という質問が出ていて、市当局は「6車線化をさらに美濃加茂市まで早期計画策定すること、さらに小牧以北の名濃道路について調査推進すること、を国へ要望している」と回答しています。
犬山市長も「整備効果は肌で感じています」としたうえで、「繰り返しますが、ここで1区切りではありません」と強調。関係自治体と連携を深めて「実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています」としています。
また、美濃加茂市のほうでも、市街へ至る国道41号「美濃加茂バイパス」がやはりあちこちで大渋滞の状況で、6車線化もしくは立体化は悲願となっています。
美濃加茂市議会の2023年12月定例会で、市当局は「国道41号美濃加茂バイパスの立体化の事業着手に向けて、毎年度、沿線自治体とともに関係機関へ要望活動を行っており、今年度は10月から11月にかけて要望してまいりました」と答弁。
議員から「で、要望した時の手ごたえはどうだったのか」と聞かれたところ、市長は「我々の地元の事情は十分理解していただき、前向きな検討はいただいているという感触は受けております」という答弁が出ていました。
なかなか「内諾」のようなものが出ているとは思えない状況ですが、昨今の道路事業は、いったん進み始めるとトントン拍子で実現に至る傾向にあります。
重要なのは「小牧~犬山 6車線化」が一段落したということ。もちろん名岐道路など愛知・岐阜エリアは動き出す新事業が目白押しですが、そこへ「名濃道路」は割って入ることができるのでしょうか、今後の動向に注目です。
なんかすごい大事故が起きそうな気がする……。