雪道で「FF」と「FR」どっちが有利? ツルッと滑る…実は「前後」で明確な違いがあった!? 一体どういうことなのか
FRの強みは「万が一のとき」に発揮!?
しかし、これはあくまで「滑らないための話」が前提です。

雪道など滑りやすい路面では、さらに「滑った後の制御のしやすさ」も忘れてはならない要素です。
この点においては逆に、FFよりFRのほうが有利となります。
FFは荷重がクルマの前側にあり、駆動と操舵の両方を前輪で担っているため、いったん滑り出すと、重たいエンジンを中心にコマを回すようにスピンしやすくなります。
また、FFはカーブを曲がっている途中にブレーキを掛けると、減速時に荷重がクルマの後ろから前へと移動し、後輪がわずかに浮き摩擦力を弱めてしまいます。
このときにハンドルを大きく切るなど車体に対して横方向の力が加わると、摩擦係数が小さくなった後輪が横滑りします。
この状態は「タックイン」と呼ばれ、サーキットでレーサーが使うような高度なコーナリングテクニックでもあるのですが、雪道でこれが起こると、クルマはコマのようにスピンしやすくなるので危険です。
また、FFはクルマの荷重が前輪に集中するため、滑り出した後の姿勢の立て直しが難しくなります。
対して、FRでは前輪が操舵、後輪が駆動と役割分担されているため、滑り出したとしても姿勢の立て直しは比較的簡単になります。
FRでカーブを曲がっている途中で横滑りし始めたら、後輪に駆動力を与えながら(=アクセルをある程度踏みながら)、車体が曲がっていく方向と逆にハンドルを切る(=カウンターステアを当てる)ことで、スピンをすることなく曲がっていくことができます。
これを発展させたのが、「ドリフト」と言われるドライビングテクニックです。
FRは、滑った後の制御のしやすさがあるというメリットがありますが、逆に言えば、滑りやすい駆動方式となります。
ドリフト競技車両がFRなのは、この理由です。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。




















































