自動車メーカー「勝ち組と負け組」の明暗分かれた? 知っておくべき「決算書」の見方は? 半期決算で見る「日産とスズキ」の違いとは

日産の失敗はあの「ダットサン」ブランドの失敗が要因?

 続いて中国です。

 モータリゼーションの飛躍的な成長によりマーケットが一気に拡大されました。

 世界中のどのメーカーもビジネスを拡大していきましたが、ここ最近は不動産不況をキッカケに景気低迷が続いており、全体の需要は落ち込み始めています。

 それにも関わらず、将来の成長を見越して投資を続けてきた影響で生産過剰状態が続いており、その影響から過剰な値下げ競争が行なわれています。

 更に中国政府は自国メーカー優遇のために税制優遇、補助金、投資など行なっており、日本を含めた外資のメーカーはより厳しい戦いを強いられていますが、その中でも日産が主戦場とするノンプレミアム市場ではより辛いビジネスとなっています。

 実は中国でもアメリカと同じように、ユーザーが求めるクルマが出せていません。

 EVのパイオニアにも関わらず電動車の流れに完全に出遅れているだけでなく、各モデルの旧態化も大きな課題となっています。

 なぜ、他のメーカーのようにニューモデルが出せないのでしょうか。

いまはなき、100年以上の歴史を持つという由緒正しきブランド「ダットサン」 近年は新興国向けブランドになっていた
いまはなき、100年以上の歴史を持つという由緒正しきブランド「ダットサン」 近年は新興国向けブランドになっていた

 それは過去の戦略ミスの尾が響いているからです。日産は2012年ASEANでのビジネスを拡大するために「ダットサン」ブランドを復活。

 低価格帯の車両を中心にしたラインナップで新興国需要を狙いましたが、結果は大失敗。

 その理由は明確で「やすけりゃ売れるだろう」と言った新興国ユーザーをあまりにもバカにした商品企画が原因だったと筆者は分析しています。

 日本のモータリゼーション発展期、日産サニーに対して、「+100ccの余裕」を武器に登場したカローラのほうが売れました。

 その悔しさから「隣のクルマが小さく見える」のキャッチで登場した2代目サニー。要するに高価なクルマを買うならば「いいモノ」が欲しい。そんな“心”を当時の日産は忘れてしまっていたのでしょう。

 ちなみにこのダットサンの失敗による巨額の損失の煽りを受け、他の仕向け地向けの新車開発も滞ってしまったと言うわけです。

【画像】いまこそ「ダットサン」復活を! 売れそうなモデルあった!画像を見る!(18枚)

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