自動車メーカー「勝ち組と負け組」の明暗分かれた? 知っておくべき「決算書」の見方は? 半期決算で見る「日産とスズキ」の違いとは
勝ち組と言える「スズキ」は何が強いのか
一方、スズキはどうでしょうか。
ちなみに主力市場はインド、日本、欧州と他のメーカーとは全く異なります。
過去には北米、中国でもビジネスをしていましたが、北米は2012年、中国は2018年に撤退しています。
スズキが得意な世界2大市場を捨てた決断は、鈴木修会長の動物的な“勘”によるモノと言わることもあります。
しかし、冷静に考えればどちらの仕向け地も大型車や高級車が求められる市場であり、「小少軽短美(しょうしょうけいたんび)」を企業理念とするスズキには「旨味が無い」と感じる部分もあります。
恐らく、他に勝負できる地域がなかったらこのような決断はできていないと思いますが、スズキには「インド」があります。
進出を決めたのは1981年です。インドの国営企業「マルチ・ウドヨグ(後に民営化されてマルチ・スズキとなる)」にアプローチして手を組んで参入。
1983年にはアルトをベースにした「マルチ800」を現地生産。地元メーカーのクルマより低燃費、信頼性の高さ、そして安さが高く支持され大ヒット。以降、スズキとインドとの関係は絶対的なモノとなっています。
ラインアップは日本のモデルとは異なる独自モデルも多く、ニーズに合わせたきめ細かい対応も人気の秘密だと言います。
インドで人気なのは税金の優遇措置が得られる全長4m未満のモデルが主となっています。
それらのモデルは「小さいから我慢」ではなく、高級ブランド(NEXA:ネクサ)や商用車販売店なども用意するなど、日本以上にきめ細やかなビジネスを進めています。
そんなインドで生きる決断をしたのは鈴木修氏(当時は社長)で、「本当は大手と同じように先進国に進出したい気持ちがあったが、『小さなクルマを作ってほしい』と言ってくれる国はインドの他にはなかった。だからインドに行った」と語っています。
ちなみに2023年のインドでの販売実績は179.4万台(市場シェアはトップの41.6%)。ちなみにこの販売実勢はグローバル販売台数の約41%となっています。
今後も経済成長と共にクルマを購入する層の増加が期待されているのでまだまだ伸びるはずですが、その一方で日本や先進国と比べると金融市場が不安定な事もあり、何かあった時には大きな打撃を受ける可能性が無いとは言い切れません。
そういう意味では、「インド一本足打法」のリスクが無いと言えば嘘になりますが、現時点ではまだまだ成長は続くと思われます。
今回は日産/スズキの決算を元にその背景を語ってみましたが、間違いなく言える事は自動車メーカーのビジネスは、どの市場で勝負するにせよ、クルマ、つまり商品で勝負できなければダメと言う事です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
まずトヨタと日産の創業者は親戚関係にあるという事。日産は元々自力で自動車開発せずに、ダットサンを製造してた快進社から、ダットサンの製造権を譲リ受け、日産自動車を立ち上げた企業。ちなみに他社は独力で自社開発からスタ-ト。問題は経営陣に在りですよ
日産はいつまでも「技術の日産」に浸かりすぎてた。さして技術もないのに!!!BEVにしてもソニ-の協力ななくしてリーフ発売できなかったのに、さも独自開発のような振舞い。今回も米国での不振についても最高責任者を更迭もせず、中国担当に異動。「企業内に自浄作用なし」これでは企業は存続しませんね。ホンダは共倒れしないように、見切り付けるタイミング見失うな!