“はたらくクルマ”の「軽トラック」なぜ個人ユースが増えている? 今やスズキとダイハツしか製造してない!? 軽トラの魅力とは
農業や運搬業を支えるクルマとして、「軽トラック」は重宝されています。最近は個人ユーザーが趣味のアシとして軽トラに乗ることも増え、ますます人気になっているようです。一体何が魅力なのでしょうか。
「軽トラ」なぜ人気?
ある時は農家のアシとして、ある時は運搬用として、さまざまなはたらく現場で大活躍しているのが「軽トラック(以下、軽トラ)」です。
最近でははたらくクルマとしてだけでなく、趣味用のクルマとして一般ユーザーが軽トラを購入することも増えました。
一体何が魅力なのでしょうか。
まず、日本独自の「軽自動車」はサイズや排気量に規制を設けられています。1998年の法改正により、「排気量は660ccまで」「サイズは全長3.4m以下×全幅1.48m以下×全高2.0m以下」「3輪または4輪自動車」に規定されました。
そして軽トラは、道路運送車両法では「車輪が3つ以上」「ボディサイズは軽規格に準じる」に加え、「荷台幅1410mm以下」「荷台フロア長2030mm以下」「荷台長1940mm以下」「荷台高285mm~290mm以下」と定められるほか、最大積載量は「350kg」となっています。
税制面などで優遇される軽トラですが、車両価格の安さも求められる要素のひとつ。
ただし、安全基準などを満たすための開発費と売り上げのバランスを保つのが難しくなっており、現在はスズキ「キャリイ」とダイハツ「ハイゼット」のみが生き残り、そのほかのメーカーはこの2車種のOEM車を販売しているのが現状です。
それぞれの販売はどうなのかを調べてみると、2023年4月から2024年3月までの1年で、キャリイとそのOEMである日産「クリッパー」、三菱「ミニキャブ」、マツダ「スクラムトラック」が合計7万2013台、ハイゼットとそのOEMのトヨタ「ピクシス」、スバル「サンバートラック」の合計が7万2705台と、ほとんど同じであることがわかります。
もともとは「とにかく安く、多くの荷物を」という実用性を最優先した軽トラも時代とともに変化。
パワステやエアコンなどの快適装備が追加されたり、安全機能が充実したこともあって、大きな荷物を運ぶ必要のある趣味(アウトドアやキャンプ、オフロードバイクの運搬など)向けとして、脚光を浴びるようになってきました。
スズキの販売協力店を兼ねる整備工場を経営するT氏に話を聞いてみると、商用での利用はもちろん、最近で個人ユーザーが軽トラをカスタムするのが人気になっているといい、なかでも、オフロードイメージを演出するパーツの装着がトレンドとなっているそうです。
「主に4cmから5cm程度のリフトアップに加え、オフロードタイヤへの交換、ロールバーやけん引用ヒッチメンバーの装着、またボディカラーを塗り替えのほか、軽キャンパー仕様が人気となっています。
また、最近では70年代の軽トラをモチーフにしたフロントフェイスキットなども販売され、しばらく軽トラベースのカスタムは人気が続きそうです」
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車内も乗用車と比べると快適性や遮音性に劣るため、高速走行や長距離移動は大変そうですが、趣味の道具を積載して出かけるには、経済的にもサイズ的にもミニマムさが重宝される要因となっているようです。
はたらくクルマとしての実力の高さは誰もが知るところですが、実は運転しても意外と楽しめることから、今後は個人ユースでの使用もますます増えるのではないでしょうか。