スズキの本格四輪駆動車「ジムニー」は、非常に小さなボディながらも悪路性能は大型車と遜色ないものを確保しており、長年にわたって人気を獲得しています。
　
　いっぽう、実はスズキには同レベルの悪路性能を持つ車種が存在します。SNSなどでも驚きの声が上がっています。

　それが軽トラックの「キャリイ」です。キャリイは1961年に登場以来、軽トラックの定番として、農業や商業などさまざまな分野で根強い支持を受けています。

　現行型は2013年に発売された11代目。居住空間の拡大や、新エンジンの採用による低燃費化と走行性能向上を図ったほか、改良で先進運転機能「デュアルカメラブレーキサポート」を採用し、安全性能を高めています。

　また2018年5月には、120mmのハイルーフ化とキャビン（居住部）を460mm延長し、室内空間を拡大した「スーパーキャリイ」がラインナップに追加されました。

　その後も「スズキセーフティサポート」の標準装備化や装備の充実化、新タイプの設定など幾度かの改良を経て、現在も販売されています。

　パワートレインは660ccの自然吸気エンジンに5速MTまたは4速ATを組み合わせ、駆動方式はFRに加え、2タイプの4WDを用意。

　このうち、最上級グレードの「KX」やスーパーキャリイの「X」、「農繁」の5速MT車に設定される4WDは、高低速2段切替式のパートタイム4WDを採用。これにより起伏の激しい悪路でもけん引力を確保できます。

　さらに「デフロック」も標準装備。田んぼなどのぬかるみで片輪が空転してしまったときでも、もう片方のタイヤに駆動力を伝達でき、脱出できるようになっています。

　これはジムニーですら存在しない装備であり、トヨタ「ランドクルーザー250」などの大型四輪駆動車でもオプション設定となっていることもあります。

　そのため、場面によってはジムニーやこれらのモデルを上回る性能を発揮できることもありそうです。

　そんなキャリイの高低速2段切替式4WDモデルですが、価格（消費税込）は最も安価な農繁仕様は本体価格130万5700円。

　スーパーキャリイの上級タイプ Xでも155万6500円と、ジムニーよりも10～35万円もリーズナブルな価格を実現。

　悪路性能が必要ながらも乗車定員を必要とせず、手軽に走行できればいいと思うのであれば、いい選択肢になりそうです。

　SNSなどでも、「農繁仕様乗っているけど仕事用としては最強かな」「ローギアとデフロック！一度恩恵に与ると手放せません」「キャリイの農繁仕様に乗っていました。このクルマが行けない所へはどのクルマもいけないと感じました」と実際のオーナーからの評価は上々です。

　一方で、荷物を積載する前提のトラックであることから、「我が愛車です。荷物を積まないとリアがポンポン跳ねますが…」と、リアに荷重がかかりづらい点を指摘する人や、「軽トラックのデフロックは、本来田畑に入るためのもの。傾斜の激しい不整地では無理は禁物」と、最低地上高や登坂可能な前後のアングルがそれほど確保されていないキャリイで無理な悪路走行は難しいとするコメントもありました。

　とはいえ、田畑などの未舗装路での作業時はデフロックとローギア4WDが強い味方になってくれるのは間違いないでしょう。

　また、軽トラックは近年、一般ユーザーからのニーズも高まっているため、国内のさまざまなアフターパーツメーカーからカスタムパーツがリリースされています。

　自分なりのスタイルにしつつも、さらに走破性能を高めるアイテムも用意されているので、こうしたパーツを楽しむ乗り方も面白いかもしれません。