日産「和製スーパーカー」純ガソリン車はもう出ない!? 高級輸入車オーナーも憧れた「R35型GT-R」何がどうスゴいのか?
日本が誇るスポーツカーといえば、日産「GT-R」です。「R35型」と呼ばれるモンスターマシンもいよいよ販売が終了となります。2007年の誕生からどのような進化を遂げたのでしょうか。
17年販売され続けた「GT-R」どう進化した?
クルマ好きなら誰もが憧れるスポーツカーといえば、日産「GT-R」です。
速さにこだわり、最新技術も数多く採用されてきた“和製スーパーカー”ですが、現行の「R35型」は2025年8月をもって生産終了になると言われています。
2007年から進化を続けてきたR35型GT-Rは、何がどうスゴいのでしょうか。
GT-Rの歴史をたどると、もともとは、当時人気だったツーリングカーレースで勝つことを念頭に開発された、「スカイライン」のスポーツモデルだったのは有名な話。「レースに勝つ絶対的な速さ」にこだわり、進化を続けてきました。
そして1989年に、16年ぶりに「R」の系譜が登場。それまでの2リッターエンジンとFR(後輪駆動)ではなく、2.6リッターツインターボと4WDという大幅な進化を遂げて復活し、それが「R32型スカイラインGT-R」でした。
その後はレースに勝つことが主目的ではなくなりましたが「R33型」「R34型」と大型化&ハイパワー化の道を進み、日本が誇るスーパースポーツモデルとなりました。
しかし時代は環境問題や安全志向が高まり、ファミリー向けモデルが売れる市場傾向となり、スポーツカーは絶滅寸前にまで追い込まれ、消滅の危機が迫っていました。
そんななか、カルロス・ゴーン元社長の肝入りプロジェクトとして開発が進み、2007年に誕生したのが「R35型GT-R」です。
登場から17年経った現行GT-Rは、どのように進化してきたのでしょうか。
搭載されるエンジン自体は初期モデルから変わらず、3.8リッターV型6気筒ツインターボ、駆動方式も一貫して4WDです。
ただし、細かい改良を積み重ねており、初期の480馬力(353kW)から570馬力(419kW)まで90馬力ものパワーアップを実現。それでいて、車両重量は1,740kg(2007年の「GT-R」)と比べ1760kg(2024年の「GT-R ピュアエディション」)とわずか20kgの増量にとどめているところに、スゴさを感じさせます。
ちなみに高価なカーボンパーツなどで武装した「GT-R NISMO」になると、車両重量は1720kgと軽量化されており、最高出力は600馬力(441kW)を実現。そのぶん価格も3000万円超にまで跳ね上がっています。
最新型は、ヘッドライトの変更、フロントグリル&バンパーやエアロパーツの形状もより複雑な造形になり、リアスタイルもより空力特性を高めるためにデザインも若干の手直しを受けています。
ちなみに空力パーツの変更は、「格好良さの追求ではなく、あくまで速さを求めた結果」と開発スタッフはコメントしており、徹底した速さへのこだわりを貫く進化が行われました。
そんな現行GT-Rについて、高級車を数多く取り扱う輸入車専門店のオーナーN氏もその登場には心躍らされたと言います。
「日産の持つこだわりが詰まったGT-Rがデビューしたときは、本気でポルシェに匹敵する速さを持ちつつ、価格は約半分(当時の新車価格は777万円から)というコスパの良さも話題になりました。
実は輸入車好きの間でも話題になって、ポルシェやフェラーリなどからGT-Rに乗り換えた人も多かったものです。
今でも高級輸入車にお乗りのオーナーからGT-Rの中古車を探してほしいと依頼されることがあります」
GT-Rは海外の名だたる高級スポーツカーと同等に扱われているのがわかります。市販車最速レベルのハイスペックモデルだけに、性能的にも価格的にも、気軽に手に入るモデルではないことも、憧れる要因となっているようです。
「7年周期くらいでフルモデルチェンジされるのが通例の国産車にあって、エンジンスペックの向上など細かい改良を加えながらも、2007年から2025年までベース車両に大きな変化が加えられていない、つまりデビュー当時から手直しする必要がない完成度を誇っているのも、人気の理由となっているでしょう」(輸入車専門店のオーナーN氏)
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現行GT-Rは2025年8月に生産終了するとのことですが、次期型の「R36型」は「ハイブリッド化される」という噂も広まっており、純ガソリンエンジンはR35型が最後になると思われます。
いまでも中古車では高値で取引されるR35型ですから、今後はさらに価値が高まることは間違いないでしょう。
英国辺りじゃ、これを町中で転がしていると通行人がカメラやスマホを向けてくるらしいですね。海外ではスーパーカー扱いだそうで。