レクサスが新開発の「スゴいMT」EVに搭載! “運転ヘタ”だとエンストする「マニュアルBEV」市販化も!? 「LFA」のサウンド響く画期的システムの正体は?
レクサスは、バッテリーEV向けのマニュアルトランスミッションを開発しています。今回、MT搭載の「UX300e」に試乗することができましたが、どのようなモデルだったのでしょうか。
EVの「UX」にMT搭載!? 一体どういうこと?
2024年11月30日・12月1日、群馬トヨタが同社のレクサス顧客向けにレクサスBEV(バッテリーEV)モデルの試乗会を榛名湖(群馬県高崎市)周辺で開催しました。
レクサスは電動化を推進しており、「2030年までにすべてのカテゴリーでBEVをラインナップし、欧州、北米、中国でBEV新車100%」という目標を掲げています。
BEVはエンジンの代わりにモーターを搭載してクルマを動かすことから、静かで鋭い加速が魅力ですが、その一方で、「エンジン音がしなくてつまらない」「アクセルのオン・オフだけで運転できるので楽しさが少ない」と感じる人もいるようです。
現在、レクサスは運転が楽しいBEVをラインナップしており、今回の試乗会も、多くの人にBEVの“スゴさ”を実際に体験し、その魅力を感じてもらいたいということで開催が実現したといいます。
くるまのニュース編集部も試乗会に参加し、さまざまなBEVを体験することができました。
なかでも興味深いモデルが、BEVのコンパクトSUV「UX300e」にMTシフトを搭載したモデル(以下、マニュアルBEV)です。
レクサスは2024年8月、ブランドとして国内初となるMT車のスポーツモデル「LBX MORIZO RR」を発売しました。
同車は、コンパクトSUVの「LBX」に1.6リッターターボエンジンとi-MT(6速MT)を搭載したホットバージョンで、SUVながらマニュアルシフトによるスポーティ走行が可能な1台として注目されています。
それに対し、マニュアルBEVは100%電気自動車のUX300eをMTで操れるというもの。
2022年12月5日にレクサスの欧州法人がブリュッセル(ベルギー)で開催したメディアフォーラムで試作車が発表されたものですが、今回はさらに開発が進められたモデルに乗ることができました。
マニュアルBEVの見た目は通常モデルのUX300eと何ら変わりません。しかし車内は異なり、センターコンソールには6速MTのシフトが備わるほか、運転席の足元にはアクセル・ブレーキ・クラッチの3つのペダルが装着されています。
このマニュアルBEVがユニークなのは、AT車としてもMT車としても走行可能な点にあり、AT用のシフトボタンもMTシフトと並んで設置。スイッチひとつで切り替えることができます。
エンジン(実際はモーター)を始動させるとエンジンサウンドが車内に響き、シフトレバーを1速に入れてクラッチペダルを“半クラ”にしてアクセルと踏むと発進します。
そして、2速・3速とシフトアップしていくと、まるでガソリンエンジンを搭載したMT車のようにエンジンサウンドも高まっていくのです。
もちろんEVなので疑似的にMTの動きを作り上げていて、シフトレバーはスイッチでしかないのですが、シフトダウン時の(疑似)エンジンブレーキの利き具合もMT車そのもの。
クラッチを切った時に回転数が少し落ちる感じや、坂道発進でブレーキを離すと後退すること、そして上手くクラッチをつながないとエンストするという細部にこだわった作り込みがおこなわれており、BEV感は皆無。見事にMTの挙動が再現されていることに驚かされました。
なお、エンストしてもクラッチを踏めばすぐに復帰可能。レクサスの開発者いわく「エンストすると恥ずかしいので、いち早くエンジン(モーター)が始動するようにしました」と、自身もMT車に乗っているということで、MT乗りの気持ちに寄り添った仕様となっていました。
また、エンジンサウンドはノーマルの音に加え、実際の「LFA」のエンジンから収録した音に切り替えることも可能。BEVで「天使の咆哮」といわれるV型10気筒エンジン音を堪能することができるという面白い仕掛けも盛り込まれています。
このマニュアルBEVのMTにはバックギアが存在せず、後退するときはAT車に切り替えます。これについて前出の開発者は「MTとATのいいとこどりをしているので、MTで煩わしい後退はせず、その部分はATに任せています」と言っています。
3ペダルなのでAT限定免許では運転することはできませんが、たとえば普段の運転はATで、ワインディングなどで走りを楽しみたいときはMTに切り替えるなど、これまでにはない新感覚のドライブが可能となっています。
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斬新システムを搭載したマニュアルBEVは、今回試乗した参加者からも非常に好評だったとのこと。
レクサスは「マニュアルBEVの市販化を目標にしている」と言い、電動化でも走りが楽しいMT車が存続することに期待がかかります。
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