「街中に多いカートが危ないです。どうにかならないですか?」 訪日客に人気の「公道レンタルカート」 全国31社中19社が「違法営業」だった! 警視庁や都議会、観光庁も対策に動く【独自取材】

11月20日、観光庁から旅行業者団体に通達が!

 公道レンタルカートをめぐる諸問題は多々存在しており、警察や国交省、東京都議会、渋谷区議会なども対策強化に動き始めています。

 2024年2月7日、警視庁は(当時の)全公道カート事業者を呼び出し、運用方法などについて要請を行いました。※これ以降に開業した公道カート事業者は呼び出し対象外です。

 そして同年9月25日には東京都議会において違法な運営を続ける一部の公道カート事業者が問題視され、東京都として、警察や国土交通省と連携して違法な事業者に対して立入検査を含めた対策をとっていく旨の答弁がありました。

 現在、関東運輸局、東京運輸支局、及び警視庁による立入検査が各事業者に対して行われています。(公道レンタルカート事業は許認可事業ではないため、関東運輸局には事業停止を命ずる権限がないため、法令違反である通知及び指導を行うにとどまります)

 直近では11月20日に旅行会社を所管する観光庁から国内の旅行業者団体(JATA・ANTA)に対して通達が出されました。

 違法な運営を続ける公道レンタルカート事業者の商品を販売しているのは、事業者自身だけではなく、半数以上が海外OTA(オンライントラベルエージェント)と呼ばれる海外系旅行会社であることも多いのです。

 旅行者自身は公道レンタルカートの車両が保安基準に適合しているか、日本の道路交通法がどうなっているのかをよく理解しないままに、旅行会社からカートツアーを予約し、カートを運転している現状があります。

観光庁より旅行会社業界団体に対して、一部の違法な公道レンタルカート事業者によるツアーの斡旋は、旅行業法違反に該当し処分対象になる旨の通達がされた(画像提供:訪日外国人安全運転支援機構)
観光庁より旅行会社業界団体に対して、一部の違法な公道レンタルカート事業者によるツアーの斡旋は、旅行業法違反に該当し処分対象になる旨の通達がされた(画像提供:訪日外国人安全運転支援機構)

 そこで、観光庁より旅行会社業界団体に対して、一部の違法な公道レンタルカート事業者によるツアーの斡旋は、旅行業法違反に該当し処分対象になる旨の通達が出されたのです。

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「公道レンタルカートへの対応について」

 公道レンタルカート事業者が旅行者に貸し出している車両の一部において、日本の道路を走行するための安全基準である道路運送車両の保安基準を満たしていないことが確認されました。

 このような、道路運送車両の保安基準に適合しない公道レンタルカートを運行の用に供する行為は、道路運送車両法第 44 条(原動機付自転車の構造及び装置)の規定に違反するものです。

 加えて、当該車両の装置が道路運送車両の保安基準に適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある場合、当該車両の使用者その他当該車両の装置の整備について責任を有する者又は運転者が、当該車両を運転させ、又は運転する行為は道路交通法第62条(整備不良車両の運転の禁止)の規定にも違反し罰則の対象となります。

 また、旅行業者がこうした車両の貸出しをあっせんすること又は便宜を供与することは、旅行業法第13条(禁止行為)第3項第2号に該当し、同法第19条第1項の規定に基づく行政処分の対象となります。
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 なお、違法カートを運転して事故が起きた場合、保険が適用されない問題も出てきます。

 保安基準を満たさない公道レンタルカートは整備不良の不正改造車とみなされ、暴走族車両などと同様の扱いになります。

 歩行者や他の交通の乗員に対しては被害者保護の観点から保険が適用されるとみられますが、違法レンタルカートを運転していたドライバー自身への「人身傷害保険」は補償されないことがほとんどとのこと。

 保安基準の改正や、警察や国土交通省などの介入で、以前の状況と比較すると法的な枠組みが固まりつつあります。

 しかし、コロナ前に比べると事業者数は倍増して2024年11月末現在で39事業者となっており、公道レンタルカート事業の新規参入者はコンプライアンス意識の欠如がみられることから、法的な枠組みからはみ出た事業者が沢山増えてしまっているのも事実です。

 新規参入の半数以上は外国人による運営とみられますが、公道レンタルカート事業はレンタカーとは異なり、国の許認可は必要なく事業展開が可能です。

 法令遵守や安全対策への意識が低い違法な事業者が規制されるような許認可制の導入を検討して欲しいものです。

【画像】これが過激な「公道カート」です(14枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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2件のコメント

  1. インスタ映えしそうな場所(渋谷駅前スクランブル交差点)等で、青信号なったばかりにも関わらずに先頭のスタッフ車両が停まり、記念写真を取り出す。
    カートの列の後部に並んでいる路線バスやタクシーにとっても、凄く迷惑。

  2. 日本は貧しい国なんだから、稼ぐためにはこれくらい許してやれよとは思う。実際、渋谷区在住だからよく遭遇するが別段危ない思いはした事ない。路駐とLOOPの逆走、自転車の信号無視の方が危険な思いをしたことがある。

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