全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは

ダイハツが過去に公開していた、液体燃料電池の実用的な軽トラック「FC 凸 DECK」とはどのようなクルマなのでしょうか。

ファンキーな見た目だけど中身は「超真面目です。」

 純ガソリン車に変わって、近年ではEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)が徐々に浸透しています。商用車でもこうした新エネルギー車が登場しはじめたことで、企業活動としてカーボンニュートラルを目指せることから運送業を中心に注目されています。
 
 しかし、今から11年前の2013年にダイハツは、小型液体燃料電池を搭載する次世代軽トラックの姿を示唆するコンセプトカーを発表していたのです。

実はとても画期的だった「FC 凸 DECK(エフシー デコ デッキ)」
実はとても画期的だった「FC 凸 DECK(エフシー デコ デッキ)」

 2013年は、「アベノミクス」始動やTPP(環太平洋連携協定)交渉に日本が参加するなど、政治的に大きな動きがあったことに加え、2020年(当初)五輪・パラリンピックの東京開催が決定するなど、例年とは異なる大きなニュースもありました。

 そんななか11月22日から12月1日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された第43回「東京モーターショー2013」では、ショーテーマ「世界にまだない未来を競え。」とし、世界12ヶ国から合計178社・181のブランドが出展。

 車両部門全体ではワールドプレミア76台、ジャパンプレミア81台が展示され、会期中の総来場者は前回(2011年)を7%上回り、90万2800人を記録するなど、注目のショーとなりました。

 ダイハツではブーステーマ「PLAY Tomorrow! もっと軽にできること。」のもと、3車種4台の参考出品車と、市販予定車1車種1台、市販車7台および各種技術を出展。その1台が「FC 凸 DECK(エフシー デコ デッキ)」でした。

 エフシー デコ デッキは、軽自動車に最適な液体燃料電池搭載のゼロエミッション・次世代ビークルだといい、シンプル・コンパクト・低コストな燃料電池発電機の可能性を新提案するモデルです。

 デザインはポリゴンをそのまま実車化したような、一風変わったもので、大型トラックのようにシャシ部分とキャブが独立し、軽トラックのような斬新な出で立ちをしています。

 ボディカラーはパールシルバーで、公開時は光が当たると虹色に輝く印象的な姿となっていました。

 フロントにはスリットのような縦の溝があり、これがルーフやキャブの後部、荷台のようなリアのフラット床部まで続いているほか、キラキラと細かく光るシグネチャーランプ、小ぶりなヘッドライトが設けられています。

 一方インテリアは割と現実的なもので、運転席と助手席を設置した2人乗り。ステアリングやペダルはしっかりと備わっています。

 ただし、インパネはとてもユニークで、スケルトンのような奥行き感のある大型センターメーターを基本に、前部はホワイトのパネルで加飾。

 このメーターは透き通ったようにパープルに光り、その下にはシフトポジションを大きく表示しています。

 シートも紫がかった光沢のある素材が用いられたベンチシート形状で、インパネと合わせ、何やらダンスクラブのような仕立てとなっていました。

 ちなみにボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1985mm、ホイールベース2450mmと、軽自動車規格に収まるようになっています。

 そんなエフシー デコ デッキはそのパンクな見た目とは裏腹に、先述した通り大きな役割を担っていました。

 パワーユニットには液体燃料を使用する、軽自動車に最適なコンパクト新FCシステムを搭載。

 ユニット自体は、2007年に発表されたもので、実車では2年前の「東京モーターショー2011」で披露した「FC 商 CASE」と同一のもの。エフシー デコ デッキはその続編ということでした。

 コンパクト新FCシステムの最大の特徴は、貴金属やレアメタルを使わない点。非常に画期的なシステムだったのです。

 貴金属やレアメタルは素材の特性上、耐腐食性があったり強度があるなど、安定した性質を持つ反面、そもそも存在する量が少なかったり、採掘して加工するコストが非常に高いといった問題があります。

 特にFCEVではこうした材料が必要になることで、システム自体が高額化し、車両本体の価格も高くなる傾向にあります。

 そんな問題を解決できると期待されたのが、エフシー デコ デッキのコンパクト新FCシステムでした。

 さらに、エネルギー密度も高めたことで長い航続可能距離を確保したほか、コンパクトなシステム設計により、自由度の高いレイアウトも実現。エクステリアやインテリアの斬新なデザインは、このコンパクト新FCシステムによって成し得たものだったのです。

 新時代の軽商用車の姿を示すエフシー デコ デッキはダイハツの技術力の高さを示すとともに、排出ガスの削減を目指せる画期的なモデルとして大いに注目を浴びました。

 しかし登場から10年以上が経過した現在、直接的な市販モデルの登場はおろか、このFCシステム自体も新たな展開はありません。

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