トヨタUSAは、突如としてある動画を公開しました。
　
　そこにはかつて日本でも販売されていた「ハイラックスサーフ」の現代板といえるモデルが登場していましたが、どのようなモデルなのでしょうか。

　2024年11月5日から8日の間、アメリカ・ラスベガスで開催される自動車カスタムイベント「SEMAショー」。
　
　自動車メーカーからパーツサプライヤーまで、大小様々な企業が最先端のカスタムカーとパーツを展示します。

　北米が重要な市場であるトヨタも、このショーにコンセプトカーを出展。

　1台は「ランドクルーザー250」をベースにした「CALTY ランドクルーザー ROXコンセプト」で、FJ40オープントップへのオマージュが込められたクルマです。

　このクルマと同時に、会場で熱い視線を集めそうなのが、「4ランナーTRDサーフコンセプト」。

　4ランナーはあまり日本ユーザーには馴染みのない車名ですが、北米で人気のSUV。4代目モデルまでは、「ハイラックスサーフ」として日本でも販売されていました。

　4ランナーの祖先は「ウイネベーゴ・トレッカー」というピックアップトラックの後部にFRP製キャノピーを架装したキャンピングカーでした。

　米国でピックアップトラックと言えば“男らしいクルマ”の代表格であり、同時に価格や保険料の安さから常に高い人気を維持してきました。

　しかし、荷台の使い途が少なく、乗車人数も限られるというデメリットも。

　そこで荷台にキャノピーを載せることで、後部も居住空間として活用することが考えられました。

　これがSUVの源流であり、1983年に運転席と後部座席がシームレスな空間で繋がった初代「4ランナー（ハイラックスサーフ）」が登場します。

　初代のN60系は、ウイネベーゴ・トレッカーの意匠がまだ色濃く残ったモデルで、ドアは2枚、車体後部はFRPキャノピーで覆われている外観を持っていました。

　運転席上のサンルーフ、そして後部のキャノピーは取り外すことが可能で、アメリカではオープンエアな状態で走行ができました。

　N60系は車中泊キャンプなど様々なレジャーに使えて、4名がオープンエアドライブを楽しめる多用途車であったことから、やがて「スポーツ・ユーティリティ・ビークル（SUV）」というカテゴリーで呼ばれるようになります。

　この歴史的なモデルをイメージしながら創られたコンセプトカーが、今回展示される4ランナーTRDサーフコンセプト。

　車名に日本のモデル名である“サーフ”が入っているのも、開発者たちの思い入れの顕れだといいます。

　このコンセプトカーは、N60系のように後部のキャノピーを脱着できるのが特徴ですが、来場者の注目は別なところにあるのではないでしょうか。

　というのもこのクルマ、まもなく北米で販売が開始される最新型4ランナーをベースにしているからです。

　4ランナーとしては6代目となるこのモデルは、2023年に登場しているピックアップトラック「タコマ」と共通のシャシが使われています。

　パワーユニットは278馬力仕様の2.4L4気筒ターボエンジンの他、326馬力を発生する2.4L4気筒ターボエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムも用意されています。

　これらのユニットに8速ATが組み合わされていますが、標準グレードの駆動方式はパートタイム4WD。

　上級グレードにはサブトランスファー付きのフルタイム4WDシステムがされているというところが、日本市場とは違う興味深い点です。

　オフロード用のオプションはかなり豊富で、オフロードクルーズコントロールシステム、リアデフロック、切断式フロントスタビライザーバーなどが用意されているようです。

　加えて「トレイルハンター」というオフロード仕様車も設定されており、これにはオールマンエミュー製ダンパーやARB製のシュノーケル、ルーフラック、そして18インチオフロードタイヤなどが標準装備となっています。

このように魅力溢れる新型4ランナーをベースにした4ランナーTRDサーフコンセプトですが、細部へのこだわりは相当なもの。

　車体後部を脱着式キャノピーに改造したことに留まらず、N60系と同様の2ドア化も。

　後席の後方に当時流行したロールバーも付けられています。また、シートをはじめとする各部にTRDのロゴが入ったパーツがふんだんに使われており、なんとサスペンションアームにまでロゴが入っているのはさすがトヨタ製作の車両です。

　キャノピーと取り外すとまるでピックアップトラックのような見た目ですが、装着するとまさしく新型4ランナー。

　コンセプトカーというカタチで展示されますが、実は2024年末と言われるデビューの前のお披露目という意味合いがありそうです。