富山~長野が最短距離!? 日本最強の山脈を貫く「北アルプス横断道路」計画が進行中!? 白馬・剣岳・立山に長大トンネルが爆誕 実現可能性は?
実現に向けて「やる気満々の県」とは!?
気になる実現までの道のりですが、国土交通省が将来的に事業化をめざす計画・構想を公表している、2021年策定の「新広域道路交通計画」では、北アルプス横断道路は「構想路線」に位置付けられてすらなく、全く触れられていません。
ではただの夢物語かというと、そうではありません。実は、富山県は2018年に総合計画「元気とやま創造計画」にて、長期構想に「北アルプス横断道路構想の推進」を明記。さらに県が独自に策定した2021年の「富山県新広域道路交通計画」でも、構想路線として北アルプス横断道路が明記されているのです。
自治体や関係団体も「北アルプス横断道路構想推進会議」を設立し、要望活動を続けています。
まず最初のハードルは、長野県のほうでも総合計画や道路交通計画にきちんと盛り込んでもらうことです。最低限の条件として県どうし足並みがそろっていないと、国に構想路線として認めてもらえません。
動きは国会でも見られます。2024年2月の予算委員会で、国交省道路局の丹羽克彦局長は、北アルプス横断道路の推進について答弁を求められました。
丹羽局長は「世界水準の山岳観光地を周遊するルートとして期待されるものと認識しております」「特殊な地山条件の介在が想定される」「大規模なプロジェクト」としたうえで、「実現のためには、引き続きこの両県の連携と、あと国民のコンセンサスが得られることが重要」と答弁。先述のとおり「長野県側がやる気を出さないとどうにも…」という背景事情が見え隠れします。
いっぽう、富山県議会でも、2024年6月の予算特別委員会で、北アルプス横断道路についての議論がありました。新田知事の答弁では、2月に富山県議会から長野県側とのあいだで、さらに5月にも県当局から長野県の道路部局とのあいだで意見交換し「これまでの経緯、課題などについて情報共有」したといいます。長野県との意見交換は昨年も行われています。
ただ、「長野県の阿部知事とはまだ直接話ができてなくて…」と知事は話します。年初に発生した能登半島地震への対応で、それどころではなかったとのこと。最後に「夢のある構想の実現に向けて取り組んでまいりたい」と決意を示していました。
ちなみに北アルプス横断道路のルートについては、立山から大町へアルペンルートに沿って抜けていく「立山ルート」、上市から早月川を遡上して剣岳直下を抜ける「上市ルート」、朝日町から白馬岳周辺を抜ける「新川ルート」が地元自治体から主張され、まだ正式な一本化はされていません。こちらも、構想前進に向けて富山県の手腕が問われています。
写真のキャプションに「富山・長野県境にそびえる剣岳(画像:写真AC)」と表記されていますが、残念ながら剱岳は富山・長野県境にそびえておりません。富山県内にそびえております。地図でご確認してください。また、つるぎだけの漢字表記は「剱岳」、または「劒岳」の表記が使われております。
この度はご指摘ありがとうございます。修正いたしました。