全長4.1m級の新型「アヴェンジャー」がスゴイ! トヨタ「ヤリスクロス」サイズで“超ちょうどいい”! 小さくても「しっかりジープ」な「コンパクトSUV」の実力とは
小さくてもしっかり“ジープ”!
今回は都心のみの試乗ということで、早々に首都高にのるコースを選択。FFで、1570kgというBEVとしてはそれほど重くない車重もあるのか、発進から軽快でスルスルとした加速フィールが感じられます。
ステアリングも一般道ではやや軽めですが、首都高で本線の流れに合わせていくと相応の落ち着きが出てきます。
全体的に、オフロードでの操作を視野に入れた懐の深さも感じさせる、おおらかなフィーリング。感心したのは腰下のしっかり感と乗り心地の良さを両立しているところで、首都高の継ぎ目もゴツンとはくるものの上手くおさめ、市街地の舗装の悪いところやマンホールなどでも不快な衝撃は抑えられていると感じます。
さすが、約200万km以上のテスト走行を行い、そこにはもちろんオフロードも含まれているというのも納得。今回は試す場所がなかったのですが、ジープのFFモデルとして初めて6つの走行モードが選択できる「セレクテレイン」と、急な下り坂を一定の速度で走行できる「ヒルディセントコントロール」を標準装備。
アンダーボディにはスキッドプレートが装備されているので、多少の悪路も安心とのことでした。
さらに、センターコンソールの後方にはセレクテレインのモード切り替えボタンがあり、「ノーマル」「エコ」「スポーツ」「スノー」「マッド」「サンド」の6つの走行モードが選択できるようになっています。「ノーマル」「エコ」「スポーツ」は驚くくらいキャラクターが変わるというほどではないものの、スポーツを選ぶと首都高のくねくねとしたカーブでメリハリのある走りができて、かなり楽しめました。
念のため、舗装路でしたが「スノー」「マッド」「サンド」も試してみると、発進やアクセルに対するレスポンスがやや穏やかに感じたり、滑りやすい路面などでの走行をサポートしてくれる感覚がありました。
帰路は後席にも試乗してみると、足元や頭上は広いというほどではないですが、座高の高い私でもギチギチということはなく、少しゆとりはあります。
座面もやや短いですが、クッションはしっかりと厚みがあり、窓が大きくとってあるので視界も開けています。後席にドリンクホルダーやセンターアームレストがないのは残念ですが、USBは1つ装備されていました。
乗り心地は前席で感じたよりはゴツゴツが多くなるものの、おおむね快適。不快な振動や突き上げもなく、これならファミリーでも不満は出ないだろうと思います。
ラゲッジはスクエアな開口部とスペースで、容量は355Lを確保。コンパクトSUVとしては十分な容量で、後席を6:4分割で倒すことができます。
両方倒しても少し傾斜が残るので車中泊には向かないかもしれませんが、フロアボードの高さが変えられて二段にも使えるのが便利です。試乗車の下の段には普通充電のコードが収納されていました。
コンパクトクラスには贅沢なハンズフリーパワーリフトゲートも装備されており、両手がふさがっている時もスマートに開閉できます。
こうして都心部をドライブしてみて、最小回転半径が5.3mという小回り性能も含め、とても快適で楽しく運転しやすいBEVであることは確かだと感じました。でも何かまだ、アベンジャーの魅力の半分も発揮できていないような、ちょっともったいない気がしたのも正直なところ。
このクラスでFFなのにセレクテレインが装備され、6つの走行モードを備えているコンパクトSUV、しかもBEVというのはアベンジャーだけ。本当なら、砂浜や砂利の河原、雪道やキャンプ場へ続く未舗装路などを走ったら、もっともっとあふれるような魅力が体感できたのだろうと思います。
「次こそは、どこか遠くへ」と想像してワクワクできること。「どこへでも行ける」という頼もしさで満たされること。そんな、「ラングラー」と変わらないジープらしさを胸いっぱいに感じさせてくれたアベンジャーでした。
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