全長6mの「8人乗り“セダン”」!? 超豪華仕様の「中国車」がスゴい! 斬新すぎる「漢字エンブレム」に国旗も装備! 歴史遺産な「ホンチー」石川に存在

石川県小松市にある日本自動車博物館は、日本最大級の車両保有台数を誇る自動車博物館。その収蔵車の1台で、中国が半世紀以上前に政府高官等へ向け生産したリムジン「紅旗」を紹介します。

漢字ロゴも採用した中国最上級リムジン「紅旗」!

 加賀平野の中央に位置する石川県小松市。この市には、日本最大級の自動車博物館である「日本自動車博物館」があります。
 
 トヨタやホンダ、日産といった日本の主要メーカーの車両はもちろん、戦前の海外車両なども幅広く収集し展示しています。なかでも、世界各国の博物館でも収蔵されることがほとんどない中国車「紅旗(ホンチー)」を紹介します。

「紅旗リムジン」(取材協力:日本自動車博物館)
「紅旗リムジン」(取材協力:日本自動車博物館)

 現在の中国の自動車メーカーは、2010年代から主にEVを中心に急速に勢力を増しており、さまざまな車両を取り揃えて世界各国へ販売攻勢をかけています。

 そんな中国における最初の自動車メーカーが「第1汽車」であり、新興メーカーなどライバルが増えた現代でも、同国の市場で大きな存在感を放っています。

 その第1汽車が、1950年代から中国の政府高官や党幹部、それに国賓の送迎などに向けて作った高級車が紅旗シリーズになります。1965年には後継モデルとなる「CA770」が登場。この時にホイールベースを伸ばして後席を広げたリムジンが主流となりました。

 ボディサイズは全長5980mm×全幅2010mm×全高1670mm。乗車定員は8人です。

 外装は、高級感のある深い艶をもつブラック1色で塗装。フロントグリルは縦型の格子を、ヘッドライトには凹凸の深い丸目型のデザインを採用し、質実剛健に仕上げています。

 全体的に、メッキを多用したデザインはひかえめな印象ですが、ただならぬ威厳を感じさせます。

 フロントバンパー右隅には中国の国旗が掲揚され、走行時には旗をたなびかせて走るものと思われます。

 また、リアには美しい「紅旗」のロゴを配置。縦型のテールランプはシンプルかつ機能美を感じさせます。

 内装はラグジュアリーな仕立ての8人乗り3列シートを使用。白を基調に最高級素材があしらわれており、リアシート用のカーテンなども備え、非常に贅沢なつくりとなっています。

 パワートレインは、最大220馬力、最大トルク42kgf-mを出力する5.7リッター水冷V型8気筒OHVエンジンと2速ATの組み合わせ。車両重量は重く2650キロ。駆動方式はFRとなっています。

 ちなみに、このパワートレインは1955年のクライスラーをベースにしているとも言われているそうです。

※ ※ ※

 中国の民間メーカーがごく初期に作ったリムジン 紅旗。しかし、車体のデザインやリア部分のロゴなどからは、機能だけでなく見た目についてもこだわりが感じられます。

 ちなみに、日本自動車博物館の展示車両は、中国の最高指導者を務めたとうしょうへい氏が乗ったもので、歴史的な価値もある貴重なクルマです。ぜひ、博物館で実物を確認してみてください。

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