「ちょっとッ!何してるの!」 私有地での「無断駐車」どうする? 勝手に移動は逆効果? 聞き慣れない「自力救済禁止の原則」とは何なのか

SNSでは度々無断駐車に対する対応が話題となっています。私有地に無断駐車された場合には警告文の貼付やレッカー移動を行いたい衝動に駆られますが、これはやめておいたほうがいいかもしれません。どのような法律に触れるのでしょうか。

勝手に止めないで! でも…無断で撤去すると、逆に損害賠償請求をされるおそれも?

 ときどき私有地に長期間自動車が放置され、土地の管理者が車両を撤去できずに頭を抱えるケースがみられます。
 
 では、一体なぜ撤去が難しいのでしょうか。

え? めちゃ放置されてるじゃん! タイヤはパンク…。 このクルマなクルマに対してできることは?(画像提供:ユーザー)
え? めちゃ放置されてるじゃん! タイヤはパンク…。 このクルマなクルマに対してできることは?(画像提供:ユーザー)

 以前、兵庫県内にある大型スーパーの駐車場に大量の放置自動車が駐車されているとして話題になりました。

 これら車両の多くは所有者が意図的に乗り捨てたものとみられ、中にはバンパーが大きく破損したりタイヤが無くなったりしているクルマもありました。

 実は同様の事例は全国各地で発生しており、過去には神奈川県川崎市の東扇島東公園の駐車場に大型バスが1年以上放置されたことも。

 さらには、羽田空港の駐車場にも複数のクルマが数年単位で放置されるなどトラブルが後を絶ちません。

 特に月極駐車場や店舗の駐車場などにクルマを放置されると、その区画が利用できなくなり営業にも悪影響が出てしまいます。

 また放置車両が公道ではなく私有地にあることから、基本的には警察の権限で移動することも難しいといえるでしょう。

 このような放置車両の問題に対してはSNS上で「他人の私有地にクルマを放置するようなヤツの方が権利強い感じになるのが何ともいえない」「自力救済の禁止について理解はできるが、無断駐車の問題は各地で起こっているので速やかに問題を解決する仕組みを構築すべき」などの意見が寄せられました。

※ ※ ※

 しかしこのような場合であっても、土地の管理者(所有者)が放置車両を勝手にレッカー移動・処分してはいけません。

 なぜなら民法には「自力救済禁止の原則」があり、土地の管理者の権利を侵害するような状態が発生していても、裁判所を通さずに自力で侵害を排除することはできないと決まっているためです。

 もし土地の管理者が放置車両を無断で処分してしまうと、管理者が「器物損壊罪」に問われたり、後日クルマの所有者から処分に関して損害賠償請求をされたりするおそれがあります。

 土地の管理者側としては到底納得できるものではありませんが、現状は正式な手続きを踏んで放置車両を撤去する必要があるといえるでしょう。

 では、一体どのような手順で対処すべきなのでしょうか。

【画像】これは酷い! クルマをそのまま放置! 衝撃な様子です。(18枚)

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