2024全日本ラリーRd.7「ラリー北海道」は希少なグラベル戦!トラブル続出の大波乱ステージはどのチームが制した?

戦うのはドライバーだけじゃない!45分でミッション交換する場面も

 デミオの松倉拓郎・山田真記子組とGRヤリスRSの大倉聡・豊田耕司組のチャンピオン争いが続くJN5クラスは、ヤリスの吉原將大・前川富哉組を交えた3組のバトルが続きました。

 LEG1の1ループ目を終えて1位の松倉・山田組に、吉原・前川組が4.6秒差で追う好バトルを展開します。2位から57.5秒と差を広げられながらも大倉・豊田組が3位につけます。

 順位が動いたのは2ループ目の1本目のSS6でした。ラリー北海道の中でも狭くアベレージスピードが高いヤムワッカで吉原・前川組が大クラッシュを起こしてしまったのです。

 一発の速さは見せるもののリタイアすることが多かった吉原選手ですが、今年はラリー丹後とカムイで2位に入るなど成長も見られ、周囲の期待も大きい若手選手です。速さはあるので、安定感が増すとさらに飛躍すると感じさせる選手だけに、残念なクラッシュでした。

45分サービスでミッション交換を実施した松倉・山田組
45分サービスでミッション交換を実施した松倉・山田組

 順調に見える松倉・山田組ですが、2速を失ってしまい厳しい戦いとなります。チームはLEG1最終の45分サービスでミッション交換を敢行します。Rally1やRally2のように交換前提の作りになっていない市販車は工程数が多く、時間内に仕上げるのはメカニックの腕の見せ所といえます。

 他チームの若いメカニックたちも見守る中、ギリギリで作業を終えペナルティーなしでデミオをパルクフェルメ(車両保管場所)へ入れることができましたが、交換したミッションもファイナルギアが欠けてしまっていて完璧とはいえない状態でした。

 裏方と見られがちなメカニックたちですが、時間内に作業を終えるために必死に作業する姿は一見の価値があります。走りだけではなく、サービスでの作業シーンにも注目してもらえるとよりラリーを楽しめると思います。

 そんな手負いの状態でLEG2をスタートした松倉・山田組は、ミッションをいたわるように丁寧な走りに徹し、さらにはLEG1で築いたリードもあって見事優勝で2年連続チャンピオンに決定しました。

 ミッションの状態を考えると、最終SSで車両火災によって一律のタイムが与えられたことも助かったと語る松倉選手でした。

 一方、プライベーターが型落ちマシンでワークスチームを打ち負かすという偉業を達成した新井・松尾組ですが、スバルでチャンピオンを決めた前回と比べるとその戦いは決して楽なものではありませんでした。

 そして、チャンピオンを獲得してもその先がないのも長年にわたる日本の問題点です。例えば父である新井敏弘選手がそうであったように、メーカー系チームから海外への参戦をサポートといったことも今となっては期待薄です。

 かつてトヨタの育成ドライバーとしてフィンランドを拠点に活動し、さまざまな挫折も味わった新井選手。2度の全日本チャンピオン獲得をきっかけに、再び世界での活躍を期待する声も多く聞かれます。その辺りを本人に尋(たず)ねると「来年は海外のラリーに何戦か参戦しようかと考えています」とのことでした。

 2019年にヨーロッパ選手権(ERC)に参戦した新井選手は、ハンディを抱えつつもトップ選手と遜色(そんしょく)のないタイムも記録していました。この年、ERCに帯同した筆者は、結果的には転倒リタイアに終わったものの第4戦ポーランドで見せた速さに驚きました。

 今シーズンは満身創痍のクルマをいたわりながらスムースな走りに徹し、結果的にはそれがチャンピオン獲得につながりました。そんな少しオトナの走りを覚えた新井選手の海外再挑戦がどんなものになるのか。今から楽しみです。

タイから緊急参戦したラリーストが実力の高さを発揮!

 北海道で開催される地区戦と全日本戦に併催されるXCRスプリントカップ北海道は17台がエントリーし、回を重ねるごとに人気も高まりつつあります。

 3年連続の参戦となる川畑真人選手は三菱トライトンで参戦しました。

番場彬・梅本まどか組のトヨタハイラックスは2連勝となった
番場彬・梅本まどか組のトヨタハイラックスは2連勝となった

 D1グランプリを主戦場とする川畑選手は、最近ではクロスカントリーラリーにも積極的に参戦しています。

 8月にタイで開催されたアジアクロスカントリーラリーにも参戦し、ラリー北海道でもその走りが期待されましたが、SS2のリクベツロングで転倒してしまい戦線から離脱してしました。

 注目を集めたのがトヨタハイラックスで参戦した、タイのMana PORNSIRICHERD・Kittisak KLINCHAN組です。今年のアジアクロスカントリーラリーで総合優勝したクルーの参戦が大きな話題となりました。

 タイではクロスカントリーラリーだけではなくSSラリーでの経験も豊富なMana PORNSIRICHERD選手ですが、日本のラリーには初参戦でXC-2クラスで3位に入り、実力の高さを見せてくれました。

 優勝は番場彬・梅本まどか組のトヨタハイラックスで、カムイに続いて2連勝となりました。

 最終戦「第51回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2024 supported by KYB」は秋の飛騨高山(岐阜県高山市)を舞台に開催されるターマックラリーで、今年でなんと51回目の開催となる伝統のあるラリーです。

 紅葉のシーズンでもあるので、高山観光とあわせての観戦がおすすめです!

【画像】全日本ラリー選手権第7戦ラリー北海道の撮り下ろしショットを見る!(56枚)

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