「めちゃ小さい」のに500万円!? 超豪華な「コンパクトカー」が凄い! “日本の技術”が光る「極小モデル」は名門ブランド仕立ての「最高級仕様」
「コンパクトカー」というと比較的リーズナブルな価格設定のモデルが大半ですが、過去には「プレミアム性」を追求し強いこだわりを持って開発された「超高級モデル」なモデルも存在しました。一体どのようなモデルなのでしょうか。
超豪華な「極小コンパクトカー」が凄い!
小さなボディサイズで扱いやすく、街乗りや日常使いにピッタリな「コンパクトカー」は、価格も比較的リーズナブルに設定となっていることが大半。
しかしその一方で、「プレミアム性」を追求したコンパクトカーも少なからず存在し、なかには特に強いこだわりを持って開発された「超高級なモデル」もありました。
そのクルマが、アストンマーティン「シグネット」です。
アストンマーティンは、1913年に英国で設立した老舗の高級スポーツカーメーカーで、息を呑むエレガントなスタイリングや高級感の溢れるインテリア、そして大排気量でハイパワーなエンジンユニットなど、隙のない高品質なクルマ作りで知られています。
このイギリスの上流階級に親しまれるアストンマーティンが、意外にも「コンパクトカー」を製造・販売していました。
シグネットは、都市内を移動するためのコミューターとして開発された、極めて小さいコンパクトカー。
ボディサイズは全長3078mm×全幅1680mm×全高1500mmと、一般的な軽自動車の全長(3395mm)よりも約30cm短い車体を採用します。
この小さなボディに、最大4人が乗車可能という驚きのパッケージングを実現しており、その短さゆえに若干“ずんぐり”としたシルエットではあるものの、アストンマーティンの名に相応しい高い高級感を備えていました。
またシグネットのフロントマスクには、同社のモデルに共通する「翼」モチーフのフロントグリルが鎮座し、さらにボンネットにも力強いダクトが2箇所取り付けられたことで、どこから見てもまさにアストンマーティンだと言える、立派な存在感を放ちます。
そんなシグネットですが、実は完全オリジナルで開発されたクルマというわけではなく、車体の基本にはトヨタのコンパクトカー「iQ」を使用。
両社のコラボレーションの実現には逸話があり、軽自動車より短い車体に安全性と実用性を備えたiQに感銘を受けたアストンマーティンが、トヨタに車体やパーツの供給を打診。
供給を受けたアストンマーティンによって超豪華仕様に仕立て上げられたモデルとして、シグネットが誕生したといいます。
その経緯もあって、シグネットに搭載される1.3リッター直列4気筒エンジンや6速MTのトランスミッションはiQと同一のもの。
しかし、ただ見た目を変えたモデルということではなく、遮音材の追加や、エンジンやトランスミッションのマウントを専用設計とするなど、シグネットでは静粛性が大幅に高められています。
また、シグネットはOEM車ではなく生産もしっかりアストンマーティンの本社ゲイドンで行われており、正真正銘のアストンマーティンとなるべく設計・生産されました。
そしてアストンマーティンの真骨頂といえるのが、シグネットの豪華な内装です。
インテリアはエクステリア以上にiQとの差別化が図られており、ダッシュボードやインパネ、シートの形状もオリジナルのデザインを採用。
職人の手縫いによって上質な本革素材で包み込まれた内装は、圧巻の仕上がりとなっています。
さらに外装色と内装色のコーディネートは、オーナーの希望によって自由に組み合わせることが可能など、まさに超高級車といえる注文方法も、シグネットのプレミアム感を際立たせていました。
またシグネットの新車価格は475万円から490万円(日本販売時の税込価格)と、通常のコンパクトカーとは比較にならない設定となっており、あらゆる面で話題となったモデルだったといえるでしょう。
※ ※ ※
このように見どころの多いシグネットですが、2011年から2013年という、わずか3年間のみ生産・販売され、ラインナップから消滅。
この理由について当時の海外の報道では、販売不振に原因があると報じており、最終的にシグネットは総販売台数150台未満という少数で生産を終えたということです。
しかし現在ではその希少性の高さからプレミアが付き、中古車市場では新車時を上回る金額で流通しています。
アストンマーティンの誇る「クラフトマンシップの真骨頂」を最も身近に体感できたコンパクトカーとして、シグネットの存在は今後も語り継がれていくでしょう。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。