「紀伊半島の最南端」到達に黄信号!? 無料の高速道路「すさみ串本道路」開通予定が「白紙」に 超固い地盤の出現で「掘削困難」

紀伊半島の最南端部の「すさみ串本道路」について、開通時期をいったん白紙にするという発表が出されました。どのような道路で、なぜ開通予定が変更されたのでしょうか。

2025年春の開通予定が「未定」に

 国土交通省 紀南河川国道事務所は2024年7月19日、紀伊半島の最南端部の「すさみ串本道路」について、開通時期を白紙にすると発表しました。
 
 もともと2025年春の開通予定でしたが、いったん「開通時期は未定」となります。
 
 どのような道路で、どのようなトラブルが起こっているのでしょうか。

少しずつ開通を迎える紀伊半島一周道路(画像:国土交通省)。
少しずつ開通を迎える紀伊半島一周道路(画像:国土交通省)。

 近畿地方の紀伊半島をぐるりと一周する高速道路は、気づけば全線が事業化を果たし、各地で延伸開通と工事が続けられています。

 紀伊半島の海岸部は、高潮や津波などにより寸断のリスクを抱えています。高規格道路で結ばれれば、緊急輸送の確実性がさらに担保されることが期待されます。もちろん「広大で遠路が続く」という紀伊半島がスムーズにつながることで、観光地としてのポテンシャルも向上するとされています。

 大阪側からは阪和道がさらに延伸する形で、白浜・田辺を経て、すさみ南ICまで開通済み。その先の「紀伊半島最南端部」を回り込むのが、この「すさみ串本道路」です。

 その先は「串本太地道路」や「新宮道路」など断続的な未開通部が工事中で、新宮~熊野も各工区で工事が進められているところです。

 さて、当初「2025年春開通予定」となっていたすさみ串本道路ですが、ことし4月から途中の和深IC付近にある「安指川橋」の工事現場で、固い地盤が出現。用意した掘削機では対応することができなくなりました。

 機械を大型化するなどして対応しても、掘削に時間がかかる状況となっています。

 これをうけて、6月24日に対応を検討する会議が開かれました。その結果「現在の工法のまま、安全性を考慮し、丁寧に施工を進めていくのが妥当」という結論となりました。

 硬質岩は周辺部にもあると見られ、掘削完了まで「相当な時間を要すると考えられる」ことから、開通時期はいったん白紙とすることが決まりました。

 同時に、すさみ南IC付近の「小河瀬谷川橋」でも「地盤の亀裂」が発見されており、そのままでは工事続行不可能ということで、ひび割れの範囲の特定と対策工法の検討が行われていくこととなっています。

 なお、他の工事現場は完成に近づいていきます。そのため、開通までに緊急事態が発生した場合、その未開通部を緊急輸送や津波避難場所などに活用することも考えるといいます。

 7月4日には複数の地元自治体による協議会が、国へ早期完成を要望しています。地元の期待が高まっているなか、今後の動向に注目です。

【画像】超便利!? これが「紀伊半島ぐるり高速」ルートと現在の整備状況です(30枚以上)

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