ホンダは、新型クロスオーバーSUV「CR-V」を2024年夏に発売します。
　
　CR-Vの初代モデルは1995年にデビュー。多くのユーザーに支持されてきたミドルサイズSUVですが、日本市場では5代目モデルの販売が2022年12月に終了しており、今回約1年半ぶりに復活することになりました。

　日本で再登場するCR-Vは、北米など海外で導入されている6代目モデルです。

　そのうえで、燃料電池システムを搭載する燃料電池車（FCEV）として登場することになっており、車名も「CR-V e：FCEV（イーエフシーイーブイ）」となります。

　新型CR-V e：FCEVは通常のFCEVとは異なり、日本の自動車メーカーが発売するモデルとして初めて、外部から充電可能なプラグイン機能を備えた、「身近に使える燃料電池車」として開発されました。

　燃料電池システムはホンダとGMが共同開発したもので、同システムを中心にパワーユニットを一体化することで小型軽量化を実現しています。

　また、ホンダが以前販売していたセダンタイプのFCEV「クラリティフューエルセル」に搭載したシステムと比較し、白金（プラチナ）使用量やセル数の削減、量産効果などでコストを3分の1に抑えたうえで、耐久性や耐低温性も大幅に向上しています。

　さらに、FCEVの特徴である「長い航続距離」と「水素の充てん時間の短さ」はもちろんのこと、ユニークなのはプラグイン機能を備えたことです。

　家庭や外出先で充電することでEVとしての機能を盛り込み、水素による一充てん当たりの走行距離は600km以上を可能としながら、EVとして60km以上走行できる見込みとなっています。

　日常走行は電気のみで、遠出をする際は水素で長距離を快適に走行することができ、利便性が増したほか、走行性能にもこだわっており、まるでセダンのようなフラットな乗り心地とロールが少なく一体感のあるハンドリングを実現したといいます。

　新型CR-V e：FCEVの外観は、知的な佇まいと力強さを表現。海外仕様の6代目CR-V（ガソリン車／ハイブリッド車）をベースとしながら、ボンネットやフロントフェンダー、フロントバンパー、フロントグリル、リアバンパーを専用デザインとしたほか、薄型でワイドなヘッドライトを採用することで印象的な表情を見せます。

　内装も同様に、6代目CR-Vの持つ上質さとタフネスさを継承。FCEVとして環境に配慮した素材を用いており、シートにバイオ合皮を採用しました。

　室内は、ベースのCR-V同様に、ゆったりとした居住空間を確保しているのですが、ラゲッジスペースにも特徴があります。

　水素タンクをリアシート下とラゲッジスペース前方に搭載したことで、ラゲッジスペースへの張り出しが発生。

　フラットなラゲッジスペースを実現することが難しいといい、そこで水素タンクの上面をボードで覆い、あえて“段差”として活用。さらに、段差の手前を上下に仕切ることによって、さまざまな用途に使える荷室を実現しました。

　なお、日本仕様の新型CR-V e：FCEVはラゲッジスペースにCHAdeMO方式のDC給電コネクターが設置されています。

　ホンダの可搬型外部給電機「Power Exporter e：6000」や「Power Exporter 9000」などを接続し、災害などの非常時や屋外イベントなどで高出力の電力を供給することができるDC外部給電機能も備えました。

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　今夏の発売に先立ち、2024年2月から新型CR-V e：FCEVの先行予約が開始していますが、価格などの情報は発売時に明らかになる予定です。

　FCEVといえば、水素を充てんできるインフラの拡充が課題となっていますが、新型CR-V e：FCEVではEVの機能も持たせることでこの課題を解決。実用的なFCEVとして期待されています。