トヨタの老舗ブランド「カローラ」なぜ複数モデルを展開する? セダン・ワゴン・SUVにかつてはミニバンも存在!? “シリーズ化”のメリットとは?

シリーズ化すると何がいい?

 多彩なモデルを揃え、シリーズ化されたカローラが得たものは何だったのでしょうか。それは「ベストセラー」という勲章です。

 なんと、カローラは、デビューの3年後となる1969年から、延々と33年連続で、国内の車名別販売台数(軽自動車を除く)で、ナンバー1を獲得しています。

 ちなみに2002年のナンバー1はホンダの「フィット」でした。そして、カローラは、2002年こそ2位となりましたが、翌2003年から2007年の5年間も1位の座を取り戻しています。

 カローラが、稀代のベストセラーカーであったことは間違いないのですが、ただし、この偉業にもひとつのからくりがあります。

トヨタ「カローラシリーズ(セダン・ワゴン・ハッチバック)」
トヨタ「カローラシリーズ(セダン・ワゴン・ハッチバック)」

 それはシリーズ化された全モデルが、ひとつのカローラとして集計されていること。セダンもワゴンも、すべてカローラとしてカウントされるので、シリーズのモデルが多いほど、順位は有利になるというルールがあるのです。

 また、シリーズ化されたことで、流行への対応も簡単です。クーペが人気になればクーペを、ミニバンがトレンドならミニバン、SUVが売れるならSUVというように、時代時代のニーズやトレンドを外すことなく対応することができます。

 クルマという商品は面白いもので、ヒットするほどにより数が売れます。「人と同じのは嫌」ではなく、「人が買っているのだから、良い商品だろう」と、よく売れる格好です。

 また、新しい名称をアピールするのは大変なことですが、そんななかカローラは、すでにある、カローラという知名度抜群の商品名を使うことで売るのは楽になるというわけです。

 そして、カローラは、「人の期待を超える」「すべての面で高得点(80点主義)」というのが伝統ですから、そのコンセプトを守れば、どんな格好をしていてもユーザーはカローラだと受け入れやすいはずでしょう。

 だからこそ、2021年にSUVの「カローラクロス」が登場しても、それほどの驚きはありませんでした。

 過去に、ミニバンの「カローラスパシオ」があったくらいですから、SUVも今更です。

 そもそも前年の2020年にコンパクトハッチバックからの派生「ヤリスクロス」があるのですから、カローラが同じ手法をとっても不思議ではありません。

 そうしたシリーズ化の努力もあり、カローラの売り上げは、今もトップレベル。2023年の車名別販売台数(軽自動車を除く)では2位を確保。2024年1月から6月では首位となっています。

※ ※ ※

 シリーズ化という手法を用いて、33年連続の年間販売台数ナンバー1を獲得し、昭和から平成初期にかけてのトヨタの基盤を作り上げたのがカローラです。

 そして、今もまた、シリーズ化により首位をうかがう存在となっています。

 トヨタの主力カローラにとって、シリーズ化は切っても切れない関係と言えるでしょう。

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