5速MTあり! ホンダ「斬新”カクカク”SUV」がスゴい! めちゃ「ユニークすぎデザイン」がカッコイイ! ほぼ「コンセプトカー」な「エレメント」は時代を先取りしすぎたのか
予想外の反響に市販化決定! 日本では…
そしてショーの閉幕後にホンダはModel Xの市販化に向け、リサーチを実施しました。
その結果、1年後の2002年1月のロサンゼルスショーで市販化を発表。同年12月から北米市場で「エレメント」と名付けられて発売を開始しました。生産はオハイオ州の「ホンダ・オブ・アメリカ」の工場が担当しています。
市販版では、インテリアやエクステリアのディティールが一般的なデザインに変更されたほかは、概ねModel Xのままです。
もちろん、スライド式ルーフや観音開きドア、汚れや水に強い内装も継承されています。
ベースは同社のSUV「CR-V」で、2.4リッター i-VTECの「K24A」型を搭載。駆動方式はFFと4WD、トランスミッションには5速マニュアル、4速AT、5速ATが用意され、豊富なバリエーションが設定されました。
続く2003年4月には日本でも、K24A型エンジン+4WD+4速ATの組み合わせのみで発売しました。
アメリカ生産の逆輸入車ですが、リアシートを外せた北米仕様と異なり、日本版では跳ね上げ式になりましたが、これは日本では外したシートを置く場所がない、という事情を鑑みたものです。
ステアリング位置は右側に、乗車定員も4名から5名に変更されていたのも、日本の実情に合わせたものでした。
北米では月6000台の販売を見込んだエレメントは、斬新な外観とアウトドアを楽しむためのコンセプトがマッチしてヒット作に。2011年モデルまで販売が続きました。
しかし残念ながら日本では人気が出ず、3年に満たない短い期間の2005年12月に販売を終了してしまいました。
フロントドアを開かないとアクセスできない観音開きのリアドアや、当時では大きいと感じられた1800mmオーバーの車幅、高価格、そして無塗装の樹脂パーツが多いエクステリアなどがその理由と言われています。
しかし、SUVがブームから定番になった現在では、エレメントのような無塗装樹脂を多用したデザインはむしろ「カッコイイ」とされ、あえて黒い樹脂パーツを装着するクルマもあるほどです。
その中で、個性的・機能的で未来感があり、アウトドアの本場・アメリカの空気を感じさせるエレメントのデザインはとても魅力的に映ります。
しかもウォータープルーフのシート、開放的な荷室など、アウトドアを楽しむことを追求した設計は、アウトドアが一般的になった今こそ通用するものです。
そのため現在ではエレメントは高い評価を得ることになりました。
現在でも「販売してほしい!」という声があがるほどで、その人気再燃ぶりは凄まじいものです。
販売期間の短さによる希少性、個性的で他の人と違うクルマに乗れるという満足感を得られることもあって、人気が急上昇中です。
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斬新すぎたがゆえに、販売当時は評価されなかったクルマとして、現在では「珍車」的な扱いも受けることもあるエレメント。
しかしエレメントは、時代を先読みしすぎてしまった「迷車」と言ったほうがよいのかもしれません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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