トヨタ「ハイエース」に「セルシオエンジン」搭載!? 専用「豪華装備」満載の“救急車”がスゴかった! 大活躍の「ハイメディック」はもはや“伝説”か

ハイエースに「V8」 なぜこうなった?

 初代ハイメディックを特徴づけていたのは、外観だけではありません。

 各種装備・機器を積んで重くなった対策に、初代「セルシオ」にも搭載された「1UZ-FE」型4リッターV型8気筒DOHCエンジンを搭載していたのです。

 救急車の使用環境に合わせ、最高出力・最大トルクの発生回転数を下げて実用性をアップ。

 最高出力はセルシオの260psから220psへ、最大トルクは36.5kg-mから36.0kg-mにデチューンされていましたが、4代目ハイエースバンのラインナップ中最強のガソリンエンジン「1RZ-E型」がそれぞれ110ps/17.0kg-mだったことを考えると、ダブルスコアの圧倒的な性能アップを実現。

V8エンジンを搭載した「ハイメディック」(画像提供:さんまる氏)
V8エンジンを搭載した「ハイメディック」(画像提供:さんまる氏)

 総重量3tにも及ぶハイメディックの重い車体には、過剰ではなくむしろ必要なパワーだったといえます。

 フロントグリルに「V8」エンブレムがさりげなく輝いているのもポイントです。なおトランスミッションは4速オートマチックでした。

 当初は2輪駆動版のみでしたが、1994年にフルタイム4輪駆動モデルも追加。全高は2540mmに達しました。

 足回りには電子制御サスペンション「TEMS」も採用。ブレーキング時に発生する車体の沈み込みや旋回時のロールを抑え、車内での円滑な医療処置に役立ちました。

 このように高機能・高性能な高規格救急車として生まれた初代ハイメディックですが、それゆえコストも高い車両となってしまったのも事実です。

 そのため1997年に後を継いだ2代目ハイメディックでは、ベースを「グランビア」(正しくは欧州仕様ハイエースのロングボディ)に変更するとともに、コストダウンが実施されました。

 とはいえエンジンは180psを発生する3.4リッターV型6気筒「5VZ-FE」型が選ばれており、依然としてパワフルな救急車でした。ミニバン型になって最小回転半径が大きくなったため、4WSも搭載していました。

 2006年には現行型となる3代目ハイメディックの発売を開始。ハイエース(現行型・200系)のスーパーロング版がベースとなりました。

 150psの最高出力を誇る2.7リッター直4の「2TR-FE」型ガソリンエンジンを載せていますが、こちらはハイメディック専用ではなく、一般のハイエースにも積まれているユニットです。

※ ※ ※

 初代ハイメディックは老朽化などによって引退が進み、現役で使用されている個体は数少なくなりました。

 ハイエースの名前は使っていませんが、実質的には「V8を積んだ最強のハイエース」とも呼べる初代ハイメディック。

 今後も「伝説の救急車」として語り継がれていくに違いありません。

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2件のコメント

  1. >2.7リッター直の「2TR-FE」

    わざわざ突っ込まなくても分かるレベルだけど4が抜けてる…。

    • このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
      修正いたしました。

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