えっ!「車検」通らなくなる!? “今夏”から始まる「ロービーム検査」って何? 考えられる対策とは

ヘッドライトは暗くなるなぜ暗くなるのか

 ヘッドライトの明るさは、車が古くなってくるといくつかの理由で低下してきます。

 その原因と対処方法について、S県でメカニックをしているMさんに解説してもらいました。

磨くことできれいになることも
磨くことできれいになることも

 一つ目は電球自体の劣化です。

 電球は、電球自体の寿命が近づいてくると電球ガラスの内側に劣化した成分が付着して、光が遮られて暗くなってきます。

 二つ目は、電球に電気を送る配線の劣化です。

 配線の途中にはコンセントの様に抜き差しできるコネクタがあるのですが、この金属部分に水が侵入するなどして錆びてくることがあります。

 錆は電気を通しにくいために電球に作用する電力が低下して、電球が十分な性能を発揮できなくなります。

 三つ目は、ヘッドライトの電球の奥にある、きらきらとした反射板が曇ったりはがれたりすることです。

 電球の光はそのままヘッドライトから出ていくのではなく、反射板で反射した光でクルマの前方を照らしています。

 反射板は電球の光りの熱によって曇ったりはがれたりしてしまうことがあり、そうなる照らす光も減少してしまいます。

 四つ目は、特にちょっと古くなったクルマによくある、ヘッドライト表面の透明なプラスチック製ヘッドライトカバーの劣化です。

 ヘッドライトカバーには劣化を防ぐコーティングが施されてはいるのですが、太陽や電球の紫外線、空気中の汚れなどによって黄色っぽく変色したり、細かいひび割れが発生したりします。

 変色やひび割れは、電球の光を遮ったり、光を乱反射させて前方を照らす光を減らす原因になります。

 ヘッドライトの明るさ検査は、クルマの前に検査機器を置き、法令で決められた方向や位置に決められた明るさがあるかどうかを確認することで行います。

 人間の目で見ると明るく見える光でも、検査では不合格になることもあります。

 実際のクルマでは、これらの4種類の原因が複合的に発生していることが多くなります。

光量低下に対する対策は?

 一つ目の電球の問題は、電球自体を新品に交換することで解消される場合があります。

 ただし、電球自体はそれほど高額ではありませんが、電球を交換するためにエンジンルームの色々な部品を取り外す必要がある車がありますので、工賃が高額になる場合があります。

 二つ目の配線の問題は、コネクタを外して金属部分を磨くことで解消される場合があります。

 ただし事故を修理したクルマなどでは配線の修理が不十分であることがあり、配線の痛んだ部分を見つけるのに大変な手間がかかることがあります。

 三つ目の反射板の問題は、残念ながらヘッドライト自体を新品や程度の良い中古品などに交換する方法しかありません。

 最近は中古車が海外に輸出されてしまい、国内で程度の良い中古部品を探すのに苦労する場合や、新品部品は製造廃止になっていることがあります。

 また、車検に落ちたら交換するといっても、交換用の部品がすぐに手に入るとは限りません。

 極端に部品価格が上がっていることも増えています。

 次回の車検は受けずにクルマを買い替える予定でしたら、慎重に検討していただきたいものです。

 四つ目の変色の件は、新品や中古品への交換以外にも試せることがあります。

 一般的なのが、ヘッドライトカバーの研磨です。

 変色した部分がコーティング層の表面にとどまっている場合には、この方法で解消されることがあります。

 カー用品店などで販売されているヘッドライト研磨・コーティング用品は、プラスチックにやさしい研磨力なので、ユーザーの方が少々力を入れすぎて研磨作業を行っても、削りすぎてしまうことはあまりありません。

 強い効果を望むあまり、塗装表面用の研磨剤や金属用の研磨剤、紙やすりを使う人もいるようですが、削りすぎてしまうと元通りにならず、ヘッドライトを交換しなくてはならなくなる場合があります。

 一般ユーザーにはあまりお勧めできません。

 プロ用のもう少し強力な製品や施工が難しい再コーティング剤もありますので、プロに相談するほうが良いでしょう。

 また、研磨しても基準の明るさまでもう一歩、という場合には、こんな方法もあります。

 HIDがなかった頃のクルマ好きは、同じ電力でもより明るい光を放つ電球に交換していました。

 ハイパーハロゲンなどの製品名で、多くの電球メーカーから発売されていたものです。

 HIDやLEDの普及でそれらの製品は廃れましたが、今回の検査方法改正に合わせて電球メーカーは、車検対策品として明るい電球の復刻をはじめました。

 また、家庭用照明の電球をLEDに交換するように、電球部分をLEDにする製品 も多数販売されています。

 ただしこの方法は、製品選びに注意が必要です。

 明るさが検査基準を満たしていない製品、照らす方向が検査機器からずれてしまったり、日本の法規制を満たさない製品、寿命が著しく短い粗悪品も流通しているようです。

 仮に車検には合格しても、ユーザーの方によっては不都合を感じることもあるようです。

 人間の目には個人差があり、電球の淡黄色は良く見えるけれど、LEDの青白い光は良く見えない例もあります。

 LED自体もかなり安価になってはきたものの、それでも電球よりは高額で、数万円がかかります。

 LEDは発熱量が小さいために、降雪時にライト表面に付着した雪が溶けない課題も残っています。

「これをすれば絶対に車検に合格する」という方法はありませんから、ユーザーの予算や考え方を聞きながら決めています。

 整備のプロでもすぐに対処できるとは限りませんから、実際にクルマを診てもらう時間を取ることが大切なようです。

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1件のコメント

  1. ロッキーとタントのロービームの殺人光軸は検査で落としてよ

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