次期「ハチロク」登場か 「新GR86」お披露目!? 1.6Lターボ&新MT採用で進化がヤバい! 既販&次期見据えた開発状況は?

2012年に初代「86」が登場し、2代目は2021年に「GR86」として発売されました。そして、いま3代目となる「次期型」を見据えた先行開発がスーパー耐久で行われます。

GR86は…「次期型を検討しているフェーズ」

 2021年に2代目、そして「GR」という名前が付いて登場した「GR86」。
 
 トヨタとスバルが「もっといいクルマづくり」という取り組みで誕生しました。
 
 現在「次期型GR86」に向けた開発が行われていますが、どのような状況なのでしょうか。

1.6リッターターボ&新トランスミッションを搭載したGR86(撮影:雪岡直樹)
1.6リッターターボ&新トランスミッションを搭載したGR86(撮影:雪岡直樹)

 2024年シーズンがスタートしたスーパー耐久シリーズ。

 2022年からST-Qクラスに28号車GR86と61号車BRZは共に参戦し、ガチンコ勝負を繰り広げてきました。

 この戦いは、GRとスバルがモータースポーツの場を活用し「カーボンニュートラル燃料」を使用したGR86/スバルBRZの次世代モデルの先行開発を「公開しながら行なう」と言う、これまでの自動車開発の概念を超える取り組みです。

 そして2024年シーズンは、2022年、2023年の2年間で一定の成果を得たと言う事で、スバルは「今シーズンは将来のBEVを含めた市販車へのフィードバックを目的とした活動に切り替えます。シーズン途中から新たなマシンに変更し、近い将来お客様に届けられる技術を織り込みながらレース現場で車両を鍛えていきます」と発表しました。

 開幕戦の菅生はスキップし、第2戦の富士24時間からBRZで参戦予定です。

 なおマシンはシーズン途中から「WRX S4」に変更されるのは公然の秘密となっています。

 対するGRはGR86で継続参戦となりますが、マシンは“新車”に変更。

 事前に配布された資料によれば28号車GR86は「次期型を検討しているフェーズ」と記載され様々な部分に手が入れられているようです。

 実車をパッと見る限りは2023年シーズンを走っていたGR86 CNF Conceptとあまり変わっていないように感じますが、各部をよーくチェックすると全くの“別物”です。

 あまりの衝撃にピット内で呆然としていると、「解っちゃいました?」と筆者に近づいてきたのは、GR86の開発責任者・藤原裕也氏です。2024年仕様は何か異なるのでしょうか。

「この2年間で色々な学びがありましたので、それらをフィードバックさせています。と言っても隠す所は何もありませんので、ジックリ見ていってください」

イチからクルマを作り直したというGR86(撮影:雪岡直樹)
イチからクルマを作り直したというGR86(撮影:雪岡直樹)

 まずはパワートレインです。

 2023年までは61号車BRZが水平対向4気筒2.4リッター自然吸気エンジンを搭載することから、出力調整のためにGRヤリス用の直列3気筒ターボ(G16E)を1.4リッターに排気量ダウンさせたユニットでしたが、2024年は1.6リッターにアップ。

 燃料は2023年の途中から改良されたカーボンニュートラル燃料を使用しています。

「将来のユニットの可能性を探している中、GRヤリスとデータの共有ができる、更にここでの活動が他の車種に広げることなどを考えると、現時点では1.6リッターが最適解と言う判断です。

 ただ、『これで行きます!!』と言うわけではありません」(藤原)

 ちなみに筆者は金曜日の早朝に行なわれたROOKIE Racingの全体朝礼に参加しましたが、ここで28号車の監督兼ドライバーの大嶋和也選手のあるコメントが気になっていました。

「シャシは今まで戦ってきたノウハウを反映して新しくなっています。

 エンジンは今回は3気筒の1.6リッターターボエンジンでパワーが出ていますが、途中から違うエンジンが載るなど、色々と考えていますので」

 違うエンジンとはなんでしょうか。

 これは東京オートサロン2024でモリゾウこと豊田章男氏が語った新エンジンのひとつ、つまり「レースに勝てるエンジン」なのでしょうか。

「言ってましたね(笑)。当然、重要な選択肢の一つですよ。

 ただ、その一方でこの1.6リッターターボを更に進化させると言う考えもありますので、正直に言えば『両面で動いてる』と言う状況ですね」(藤原)

 28号車GR86のもう一つは新開発の6速MTです。

 現行GR86はアイシン製「AZ6」を採用していますが、これはアルテッツァ時代から採用されている物ながら中身の部品もケースも新設計された物です。

 ただ、許容トルクはそれほど高くないので、チューニング時のアキレス腱と言われていたのも事実です。

 今回はそこに大きくメスを入れたと言うわけです。

「欧州向けレクサスISのディーゼルターボ用にラインアップしていたユニット(AY6)をベースに、最新の技術を盛り込むと同時にシフトフィールやモータースポーツでの操作性を考慮した設計になっています。

 今、トヨタ/レクサスが持つユニットの中での最善策です。

 MTは2ペダルと比べると少数派なのはですが、無くしてはダメなモノです。

 そこで、『我々ができる事、まだまだあるよね』と言うわけです。

 もちろん既販モデルの事も考えていますよ」(藤原)

※ ※ ※

 前述の事前資料においても28号車GR86の年間目標は、「パッケージ変更による嬉しさの確認」と「量産を見据えたパワートレイン強化」と記載されていました。

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