なぜ40年前の「AE86(ハチロク)」が今も人気? 1000万円の個体も! でも昔は「タダであげてた」ってマジか!? 事情通に聞いてみた

「AE86(エーイーハチロク)」ことトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」は、1983年デビューから40年が経過した今も根強い人気を誇りますが、どのようにして支持を集めていったのでしょうか。その事情について「ハチロクのオーソリティ」に聞きました。

「ハチロクのオーソリティ」に聞いた人気の秘密とは

 1983年に登場した「AE86(エーイーハチロク)」ことトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」は、現在も300、400万円以上という中古車価格をキープする高い人気を誇り、なかには1000万円というケースも少なくありません。
 
 しかしかつては、ごくありふれた存在だったといいます。ではなぜ今、ハチロクにこれほどの人気が集まるのでしょうか。

デビューから40年が経過した今も「AE86」が人気を集め続ける理由とは[写真は「東京オートサロン2023」に出展されたレーシングドライバー佐々木 雅弘選手の愛車「トレノ」]
デビューから40年が経過した今も「AE86」が人気を集め続ける理由とは[写真は「東京オートサロン2023」に出展されたレーシングドライバー佐々木 雅弘選手の愛車「トレノ」]

 現在、1990年代・80年代に販売された中古車・絶版車の市場価格が高騰していますが、その代表例といえるのが1983年に登場した4代目カローラレビン/スプリンタートレノです。

 当時、ベースの「カローラ/スプリンター」の形式がE80系で、搭載されるエンジンがA型のため型式に「AE」を冠し「AE85/86」となっていました。

 さらにレビン/トレノには2種類のエンジンがあり、ベーシックな1.5リッターSOHCの「3A-U」型が“AE85”なのに対し、名機とうたわれる1.6リッターDOHC「4A-G」型を積むスポーツモデルが“AE86”とされました。

 その型式から“ハチロク”と呼ばれて親しまれています。

 大衆車ブランドのラインナップということもあって、新車当時は100万円台前半から中盤という廉価な設定でした。

 2ドアと3ドア(ハッチバック)という2つのボディタイプが用意され、さらにトレノにはリトラクタブルヘッドライトが備わるなど、外観上の差別化も図られていました。

 2024年3月現在におけるAE86の価格を調べてみると、200万円台どころか300、400万円台はあたりまえ。

 中には500万円から600万円、1000万円オーバーのプライスタグを掲げている店もありました。

 しかし、筆者(遠藤イヅル:1971年生まれの52歳)が免許を取得した1990年前後では、AE86の価格はとても安く、「先輩から安価で譲ってもらう」あるいは「タダでもらう」ような存在でした。

 当時は不人気とまではいわずとも、現在のような異常人気はなかったことを覚えていますが、では現在、なぜこれほどAE86は注目を集めているのでしょうか。

 当時からAE86を乗りこなし、その後もチューニング雑誌でAE86の記事を担当、そして現在もAE86に乗り続ける“ハチロクのオーソリティ”こと菅原 次郎氏に、当時の事情や理由を聞いてみました。

「発売当初は、『1世代前のTE71型に、4A-G型を載せただけ』みたいな感じで、ある意味で少し古臭く感じたことは確かです。新開発と言いながらも、4A-G型も取り立てて特別に速いエンジンでもありませんでした。

 ただ、エンジンも足回りも古典的でシンプルな構造だからこそ、イジリやすくてパーツも豊富で、その気になれば自分たちで何でも自由に改造できたことで、次第に人気に火が付いていきました。

 シンプルな構造なので、クルマの挙動もシンプル=人間の本能や感性に素直な乗り味、と言えばいいのでしょうか。

 リアサスペンションの設計も古いリジッド式でしたが、4WSやHICAS、トーコントロールなどの電子的なデバイスがない分、不自然な動きがなく、ドリフトコントロールもし易かったのです」

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