トヨタが「“超凄い”ハイラックス」実車公開! 斬新シフト&「専用内装」採用! 2025年にも発売の「REVO e」泰に登場

トヨタのタイ法人は、2024年3月26日から4月7日まで開催される第45回「バンコク国際モーターショー」で新型「ハイラックスREVO e」を展示しました。どのようなモデルなのでしょうか。

ハイラックスのEVは全然別物だった…

 突然ですが、世界有数のピックアップトラック市場といえばどこでしょうか。世界最大のピックアップトラックの市場と言えるのはまずアメリカです。 

 長い間乗用車販売ランキングのトップ3はフォード「F150」、シボレー「シルバラード」そしてダッジ「ラムトラック」の3台が独占。3台あわせて年間150万台以上のピックアップトラックが売れ、人気のSUVも販売ランキングはトラック以下という状態が続いています。

全然違うじゃん! トヨタ新型「ハイラックスREVO e」
全然違うじゃん! トヨタ新型「ハイラックスREVO e」

 さて、そんなアメリカと並ぶピックアップトラック大国なのがタイ。販売ボリューム(と車体サイズ)は北米ほどではありませんが、中型や大型の商用車を除く販売のうち40%がピックアップトラックなのだから、超人気と言っていいでしょう。

 そんなタイで開催された「バンコク国際モーターショー」も当然ながらピックアップトラックが大量に展示されているのですが、注目の1台がトヨタブースの「ハイラックス」。

「GR」モデルや、廉価タイプの「チャンプ」も含めて複数のハイラックスが置かれています。

 まったく別設計のチャンプ以外にも、スタイリングの仕立てで複数のタイプがあるのが興味深いところです。

 そんなハイラックス群のなかに、ちょっと他とは違う雰囲気の仕様がありました。一般的にハイラックスは野性味あふれるグリルを組み合わせてラギッドな顔つきとしているのですが、このハイラックスは正反対。グリルは小さく、スマートな雰囲気です。

 何を隠そう、「ハイラックスREVO e」と名付けられたこのハイラックスが特別なのはパワートレイン。エンジンは積まず、モーターのみで走るEV(電気自動車)なのです。ハイラックスも電気自動車とは時代ですね。

 構造的にはガソリン車と同じラダーフレームを使い、左右のフレームの間にバッテリーを搭載。リヤデフに代わってモーターを内蔵したイーアクスルを積んでEV化。リヤサスペンションの構造もガソリン車とは異なります。

 ところで、実際にモーターショー会場で実車をチェックした筆者が感じたのは、作り込みの完成度。このEVハイラックスの公開は、今回のバンコク国際モーターショーが初めてではないし「2025年から販売」とされているのですが、すでに試作車レベルを超えた仕上がりでこのまま市販してもおかしくない水準と筆者は感じました。

 そして驚いたのはインテリア、エンジン車とメーターが異なる(タコメーターが出力/回転計に変更されている)のは当然ですが、センターコンソールもEV用のオリジナル。

 シフトセレクターがトヨタ初の量産EVである「bZ4X」と同様のロータリー式(回転させて動かす)になっているのに加えて、なんとパーキングブレーキが電動式になっているではないですか。これは新しい!

 ついにピックアップトラックも電動パーキングブレーキの時代というわけです。

 ちなみに、昨今のタイの新車販売におけるEVの販売比率は10%ほど。ここへきてやっと3%程度まで拡大した日本と比べても、その比率が高いのだから驚きですね。

 実はタイでは、EV普及のための政府の政策により補助金や減税などサポートが手厚く、一般的な小型乗用車だと「ガソリン車よりも安く買えて維持費(エネルギーコスト)も安い」という状況。それもあってEVを選ぶ人が増えているのです。

 果たして、ピックアップトラック×EVの組み合わせが世界第二位(おそらく)のピックアップトラック市場でどう受け入れられるのかは非常に興味深いところ。タイではいま、新車販売の約1割がEVなので受け入れる土壌はありそうです。

 ちなみにバンコク国際モーターショーでは、ピックアップトラックとして現地でもっとも人気の高い、いすゞD-MAXもEVのコンセプトモデルを出展。しかし関係者によると「タイでは販売しない」とのことでした。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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