フロントガラスの「着色フィルム」車検で拒否される!? ギラギラや透明など多様なカーフィルムの現状… 専門店の見解は?

最近、紫外線カットや暑さ対策、ドレスアップなどのため、クルマの窓に「着色フィルム(カーフィルム/オーロラフィルムなど)」を施工する人が増えています。一方で車検の際ディーラーに入庫を断られるケースが発生しているようです。実際、何が問題となっているのでしょうか。

カーフィルム施工に当たってクリアしなければならない条件は?

 クルマの窓に施工する「着色フィルム」はユーザーから一定の人気を集めていますが、車検の際ディーラーに入庫を断られるケースが発生しています。
 
 では、カーフィルムをめぐる現状はどうなっているのでしょうか。

街中で見かけるギラギラとしたウインドウ、「オーロラフィルム」というものだけど、どのようなメリットがあるの?(画像提供:株式会社ウエラ名古屋)
街中で見かけるギラギラとしたウインドウ、「オーロラフィルム」というものだけど、どのようなメリットがあるの?(画像提供:株式会社ウエラ名古屋)

 ユーザーの中にはクルマの紫外線カットや暑さ対策、ドレスアップなどのため、クルマの窓にカーフィルムを施工する人がいます。

 カーフィルムと一口に言ってもその種類はさまざまで、黒色を基調とした「スモークフィルム」や色の付いていない「透明(クリア)フィルム」、天候や見る角度によって色が虹のように変化する「オーロラフィルム」などがあります。

 このようなカーフィルムをフロントガラスと運転席・助手席側の側面ガラスの3面に施工する場合は、道路運送車両の保安基準 第29条の規定により、「窓ガラスの可視光線透過率が70%以上」という条件を満たさなければいけません。

 可視光線透過率とは外の光を通す割合のことであり、基本的に透過率が下がれば下がるほど視界が暗くなります。

 そのため、ドライバーが周囲の交通状況をきちんと確認できるよう最低限の可視光線透過率が法令で定められています。

 この条件をクリアしていないと、不正改造車として取り締まりを受ける可能性もあります。

 なお、この可視光線透過率を計測する際には保安基準を満たす測定器を使用することが決められています。

 SNS上では、実際にカーフィルムを施工した自動車ユーザーから「日差しのジリジリ感が軽減された」「エアコンが効きやすくなった」という機能面のほか、「クルマがカッコ良く見える」といった見栄えの面などで好評の声が上がっています。

 その一方、「カーフィルム施工車をディーラーに持って行ったら車検を拒否された」という嘆きの声も聞かれました。

 そのような状況の中、愛知トヨタのウェブサイトではユーザー向けに「着色フィルム等を貼付した車両の入庫のお断りについて」と題した文書を公表し、以下のように説明しています。

ーーー
 ●施工業者から着色フィルム等の可視光線透過率が70%以上という確約を受けても、同状態が恒久的に継続するものではなく、経年劣化などによって当初の性能を維持できないことが想定される。

 ●過去には、運輸支局などの測定で保安基準に適合しない事例も発生している。

 ●愛知トヨタでは着色フィルム等に関して透過率の測定をおこなっておらず、保安基準に適合していることを前提とした入庫受付ができないため、前面ガラスおよび側面ガラス(運転席より後方の部分を除く)に着色フィルムを貼付した車両の入庫を一律お断りしている。

 ●今後、着色フィルム等の性能が向上し、可視光線透過率が恒久的に保安基準をクリアできることが公的機関によって証明されれば、整備等のサービスの提供を検討する。
ーーー

 各ディーラーによって対応は異なるものの、オーロラフィルムをはじめ色の付いたカーフィルムの車両は入庫が拒否される可能性があるといえるでしょう。

 カーフィルムをめぐる現状について、愛知県日進市でカーフィルムの施工やカーコーティングなどを手がけるウエラ名古屋の担当者は次のように話しています。

「最近は、お客様から『ディーラーで車検を請け負ってくれなくなったためオーロラフィルムなどの着色フィルムを剥がして欲しい』というご依頼を受けることがあります。

 しかしその一方で、ディーラーから当社にオーロラフィルムを施工して欲しいというご依頼が入ることもあります。

 ディーラーによって対応が異なるため、カーフィルムを施工される際は事前にディーラーや施工業者に確認したほうが良いでしょう」

 このように、ディーラー独自の入庫規定がカーフィルムの選択に影響している状況がうかがえます。

※ ※ ※

 着色フィルムを施工すると車内の暑さ対策やプライバシー保護といった面でメリットがある一方、現状ではディーラーでの整備を断られてしまうケースがあります。

 カーフィルムの施工に際しては、担当の自動車整備業者やカーフィルム施工業者とよく相談のうえ検討することが大切といえるでしょう。

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