日産は、新たな経営計画「The Arc」を2024年3月25日に発表し、2024年度から2026年度にかけおよそ3年間で30車種の新型車投入や、電動化の推進などについて明らかにしました。
　
　映像で各モデルのシルエットも公開しましたが、そのなかには「次期型エルグランド」を想起させるラージミニバンの姿も含まれていました。

　日産の新・経営計画のThe Arcは、2024年度から2026年度までの中期の取り組みと、2030年までの中長期の取り組みから構成されており、そのなかには直近の約3年間に向けた日産の新型車戦略も含まれます。

　2026年度までに16車種の電動車両を含む30車種の新型車を投入し、内燃機関（ICE）を搭載する乗用車の60％を刷新する計画です。

　ちなみに2024年度から2030年度の間では、計34車種の電動車両を投入してすべてのセグメントをカバーし、グローバルな電動車両のモデルミックスは2026年度に40％、2030年度には60％になる見込みだといいます。

　北米、中国、日本、そしてアフリカ、中東、インド、欧州、オセアニアなど、地域ごとに最適化されたラインナップを用意する予定です。

　そのうち日本市場は、2026年度までに乗用車モデルラインアップの80%を刷新して5車種の新型車を投入。電動車のモデルミックスを乗用車で70％へ向上するとともに、販売台数を2023年度比で9万台増加させ、2026年度に年間60万台の販売を目指すといいます。

　2024年3月現在、国内の日産車はコンパクトカー「ノート／ノートオーラ」や、ミディアムクラスミニバン「セレナ」、そして軽自動車が市場人気の中心な一方、高額な大型クラスは手薄な印象があります。

　なかでもラージクラスのミニバンは、2010年登場の「エルグランド」がデビュー14年目を迎えた今も、販売を継続しています。

　同クラスのライバルメーカーでは、トヨタが「アルファード／ヴェルファイア」を2023年6月にフルモデルチェンジしたほか、ホンダは2021年中に一度生産を終了した「オデッセイ」を2023年12月に復活させるなど、活発な市場となっています。

　そもそもラージクラスの高級ミニバンは、1997年登場の初代エルグランドが開拓したジャンルでした。

　対抗馬として2002年に登場したアルファードが世代を重ねるにつれ人気を集め、今やヴェルファイアと合わせひとり勝ちとなっているのが現状です。

　自販連調べによる新車販売ランキング（軽を除く）ではアルファードが2024年1月度に7位へランクインし6777台を販売するなど、ラージクラスの高級ミニバンに旺盛な需要があるのは間違いなく、日産もここに新型車を投入すれば十分にチャンスはあるでしょう。

　そんななか、2023年10月に行われた第1回「ジャパンモビリティショー（JMS2023）」で日産は、コンセプトカーとして「ニッサン ハイパーツアラー」を発表。

　歴代エルグランドを思わせる堂々としたスタイルのラージミニバンであったことから、「次期エルグランドか!?」と大いに話題となりました。

　ただしこのハイパーツアラーは、現在開発中の新型バッテリーを搭載するBEV（バッテリーEV：電気自動車）であり、少し先の未来をイメージしたモデルだといいます。

　こうした将来のBEV化との橋渡し役となるモデル投入が急務といえますが、今回のThe Arcで見られたラージミニバンのシルエット画像に映る姿は、より現実味があるように感じられます。

　それでいて、堂々としたスタイルはハイパーツアラーとの共通性もあり、歴代エルグランドとのつながりも色濃く見られます。

　なかでも、2代目エルグランド（2002年登場）のクリーンなスタイリングと近しい印象がありました。

　その詳細については、The Arcのなかで一切発表がありませんでしたが、次期型エルグランドの実現に向け、大いに期待したいところです。