高速道路走行中の謎の音「ダダン……ダダン…」の正体は!? 橋でも「奇妙な振動音」実は大事なものだった!
高速道路や橋の上をクルマで走行していると、ときおり「ダダン……ダダン……」という振動音が響いてきます。これはいったい何が原因で発生するのでしょうか。
高速道路のギザギザ「ジョイント」はかなり重要だった!
高速道路や橋の上をクルマで走行していると、ときおり「ダダン……ダダン……」という振動音が響いてきます。
これはいったい何が原因で発生するのでしょうか。また、最近はこの振動音が鳴らないことも多くなっているようです。
この振動音は、路面の「ジョイント」をタイヤが通過していく時のものです。
高架橋の「ジョイント」とは、橋桁と橋桁のつなぎ目の部分です。一般的な橋は、橋脚と橋脚のあいだにコンクリート製や鉄鋼製の「桁」を置き、そのうえに床版や舗装を敷いて道路にしています。
そのつなぎ目ですが、ピタッと隙間なくハマるように橋桁を設計すると、困ったことが起きます。金属でもコンクリートでも、桁は温度変化で「伸び縮み」するからです。
特に暑い夏だと、橋桁は大きく膨張します。そこでジョイント部に「伸びしろ」を用意しておかないと、橋桁同士が膨張力の逃げ場を無くし、互いに負担をかけあうことになり、構造物の寿命を縮めることになりかねません。
そこで、普段は少し隙間を空けているわけです。タイヤやゴミが挟まるのを防ぐために、ジョイントの多くはギザギザが噛み合う「フィンガージョイント」が採用されてきました。そこにタイヤが通過すると、振動音が発生するのです。
しかし、ジョイントはやはり無いほうが理想といえます。沿線環境に対して騒音を低減することだけでなく、クルマへの振動を与えたり、スリップの原因になったりするだけではありません。ジョイントの錆びで機能低下することに加え、「隙間がある」こと自体が、雨水の侵入を招いてしまうこともある懸念材料なのです。
これまで長年、フィンガージョイントがもっとも簡便なやりかたで、それでよしとされてきました。時代の変化で、これらの懸念点が浮き彫りになり、何か対策を打たないといけなくなったのです。
そのため、近年急速に普及しているのが、そもそも表面に隙間を発生させない「ノージョイント」です。
橋桁と橋桁のあいだに隙間を空けるのは変わりませんが、そのつなぎ目に、橋桁の伸縮や膨張をうまく吸収してくれる特殊なアスファルト合材や、ゴム材を使用します。その上からアスファルト舗装をすれば、隙間から舗装が落ちていく心配もありません。それで「ジョイントが無くずっと連続的なアスファルト舗装」が実現するわけです。
とはいえ、まだまだノージョイントは試行錯誤の発展段階。工法は百花繚乱で、コスト面やメンテナンス面でどれが最適解なのか、いまだにはっきりとした答えは出ていません。
あいだを埋める材料が想定外に早く傷んだり、継ぎ目上のアスファルト舗装が車両荷重に弱くてすぐに剥がれたり、そもそも橋桁の伸縮に対してうまく応答できないなど、過去のいろいろな工法に一長一短が報告されてきました。
そのため、現場で使用されている工法は、あくまでその現場での最適解、と言えるかもしれません。現場状況によっては、まだまだ従来のジョイントが残っている区間もありますが、大規模リニューアル工事などをきっかけにして、少しずつノージョイント化の検討が進められています。
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