【大人の社会科見学】すり減ったタイヤ”張り替えれば”もう一回使えるってマジ!? どんな方法で?安全性は大丈夫? 「トーヨーリトレッド」の巨大工場で実際に見てみた
トーヨータイヤでは、コスト削減のみならず、環境意識の高まりから採用例が増えている「リトレッドタイヤ」を豊富にラインナップしています。今回は、同社のリトレッドタイヤ製造を担う「トーヨーリトレッド」の工場を訪問し、製造工程や高品質の秘密に迫りました。
コスト・資源削減と環境貢献をもたらすリトレッドタイヤ
「リトレッド(Retread)タイヤ」とは、すり減って一次寿命が終了したタイヤ(台タイヤ)の接地部(トレッド)のゴムを削り取り、新しいゴムを貼り替えて機能を復活させたタイヤのことです。「更生タイヤ」とも呼ばれます。
トーヨータイヤでは、トラック・バス用を中心に、オールシーズンやスタッドレスなど多様なリトレッドタイヤを製造・販売しています。リトレッドタイヤなら新品タイヤよりも価格を抑えることができ、また製造時の資源を約68%、CO2排出量も約64%削減できるとトーヨータイヤは説明しています。

資源投入量や廃棄物を減らす「Reduce」、再利用する「Reuse」、再資源化する「Recycle」の「3R」を体現する商品として、近年大きな注目を集めています。
この製造を担うのが、国内屈指のリトレッドタイヤメーカー「トーヨーリトレッド」です。同社は、1931年創業の老舗タイヤ販売会社「高瀬商会」(※高は、はしご高)と、トーヨータイヤの共同出資により1999年に設立されました。
現在は新潟県の糸魚川工場と北海道の小樽工場の2拠点体制で、1日約500本、年間約13万4000本のリトレッドタイヤを全国へ送り出しています。
リトレッドタイヤの製造工場に潜入!
今回見学した糸魚川工場は、敷地面積約2万583平方メートル、従業員数47人という規模です。
リトレッドタイヤの製造には、大きく分けて2つの方式があります。
・リモールド方式(ホット式):パターンのないゴムを貼り、金型に入れて高温加硫してトレッドを刻む方式。量産向きで新品に近い外観に仕上がり、国内で主流。糸魚川工場でもこちらがメインです。
・プレキュア方式(コールド式):あらかじめパターンが刻まれた加硫済みのゴムを貼り、低温で加硫接着する方式。金型不要で少量多品種に向いています。
工場では、以下の9つのステップでタイヤが生まれ変わります。
1.洗浄と乾燥:回収された台タイヤをサイズ別に分け、専用機や高圧洗浄機で汚れを落とし乾燥させます。
2.受け入れ検査(二次検査):再利用可能かを入念にチェック。目視や触感での確認に加え、2万Vの電圧をかけて見えないくぎ穴を特定する「NDT検査(非破壊検査)」や、減圧環境下で内部の剥離を発見する「シアログラフィー検査」など、厳格な社内基準で判断します。
3.バフィング:最新鋭の全自動バフ機で古いゴムをそぎ落とします。かつては職人の「勘」に頼っていた作業ですが、現在はサイズ入力によりスチールワイヤーの2〜3mm上まで正確に削ります(削りカスは再生ゴムとしてリサイクルされます)。
4.スカイブ:表面に現れた損傷部を、修理しやすいように整えます。
5.セメンティング:新しいゴムの接着を強化するため、ゴムセメントを塗布します。

6.穴埋め:スカイブで整えた損傷部に、溶けた補修用ゴムを充填(じゅうてん)します。
7.成型:新しいトレッドゴムを巻き付けます。リモールド方式では未加硫の柔らかいリボン状ゴムを巻き付けた後、金型に入れて熱と圧力をかけ(加硫)、トレッドパターンを成型。この加硫によりゴムと硫黄が分子レベルで結合し、タイヤとしての耐久性や弾力性が生まれます(プレキュア方式の場合は、加硫済みのゴムを手作業で巻き付け、専用の袋に入れて真空状態にし、電気加熱硬化チャンバーにて低温で加硫接着します)。
8.最終検査(三次検査):接着不良がないかを目視と触感で念入りに確認。最後に耐圧試験機で実際の使用状況を再現し、安全性を担保します。
9.仕上げ:はみ出したゴムのバリを取り除き、結合部をなじませるために塗料を吹き付けて完成です。
高瀬商会は早くから通商産業省(現:経済産業省)指定のタイヤ更生工場に認定されるなど、確かな技術を持っていました。その時代から受け継がれる豊富なノウハウと高い技術力が、確かな品質を支えています。
































