タフすぎるスズキ「斬新小型トラック」がスゴかった! 全長3.8m切りד画期的”すぎる荷台搭載! 「X-HEAD」は今求められる1台か
スズキが「東京モーターショー2007」に展示したコンセプトカー「X-HEAD」。SUV時代を迎えた現在の視点から見ても魅力的な小型ピックアップトラックです。一体どのようなクルマだったのでしょうか。
今登場すれば人気必至か!? 斬新なアイデア満載の「X-HEAD」とは
モーターショーに展示されるコンセプトカーの中には、発売されていたら現代の市場でどんな反響があったのだろう、と思わせるモデルがあります。
2007年10月開催の「東京モーターショー2007」にスズキが参考出品した「X-HEAD(エックスヘッド)」は、まさしく今なら大いに注目されそうな一台です。
X-HEADのコンセプトは、「ジムニー、エスクード、そしてキャリイのDNAを受け継いだ新ジャンルのクロスユーティリティビークル」。
SUV風の車体に、後ろ半分をピックアップトラックとした姿は、まさにそのコンセプト通りですが、短いボンネット、張り出したオーバーフェンダー、切り立った窓で構成されたキャビンなどは、既存(現在においても)のSUVにはあまり見られないスタイルを持っています。
この迫力あるスタイルの内側には、スズキが四輪駆動車「ジムニー」「エスクード」で培ってきた本格的な四輪駆動システムを搭載。
ハイリフト化により獲得した大きなデパーチャー・アプローチアングル、ラダーフレーム・前後3リンクリジットサスペンション・大径タイヤ・LSD付センターデフ方式のフルタイム4WDにより高い悪路走破性を誇る、と説明されていました。
ラダーフレーム式としたのは、トラックの荷台が自由に架装できるのと同じく、X-HEADでもライフスタイルに合わせた荷台ユニットのアレンジを想定したため。
例えば、大人2人が寝泊まりできる「キャンパー」、街でクールに乗る「ファッション」などのモードに変身するほか、さまざまな道路状況での救難・救助を想定した「レスキュー」ユニットも用意され、社会的使命にも応えられる設計を持っていました。
荷台部分のボディ側面は開閉式で、開くと「マルチボックス」と呼ばれる収納が出現。コンセプトカーではオフロードバイクを積載していたため、マルチボックスにはゴーグルやグローブ、ブーツなどが収納できる様子が表現されていました。
写真では大きく見えますが、X-HEADの外寸は全長3750mm×全幅1695mm×全高1860mmで、4ナンバーに収まります。
全長は軽自動車より約350mm長く、幅もいわゆる5ナンバーサイズですので、街中で乗りやすいことは間違いないでしょう。
ミッドシップレイアウトで搭載されると想定されるエンジンも、ブラックボックス感の少ない、現実的な1.4リッターガソリンがチョイスされていました。
軽トラックよりもひと回り大きく、現在発売されている「巨大」ともいえるピックアップトラックよりも、ぐっとコンパクト。このサイズ感を魅力的に感じる人は多いのではないでしょうか。
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ジムニー並みの悪路走破性に、キャリイ譲りの積載性を持つX-HEAD。
ひと目見て「あれもしてみたい、こういう使い方も面白そうだ」と、いろいろな夢が膨らむような小型ピックアップトラックとして、発表後17年が経過した今なお、魅力的に映ります。
キャンプやアクティビティを楽しむユーザーが増え、クルマ選びの基準が「積載性」や「実用性」にシフトしたことで、現代では各メーカーともに販売の主流がミニバンやSUVとなりました。
しかも近年では、商用バンやピックアップトラックのみならず、軽トラックや小型トラックも、趣味や豊かな生活を楽しむためのツールや、ライフスタイルに合うクルマとして選ばれるようになってきています。
そう思うと、X-HEADは時代を先読みしていたコンセプトカーだったのかもしれません。このままでの発売は難しくとも、このエッセンスを流し込んだ新しいモデルの発売に期待したいと思います。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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