いよいよ「世界と戦う」準備が整った!? 日産とホンダの国産メーカー2社が「手を組む」意味とは

日産とホンダで異なる市場評価の理由とは

 興味深いのが市場の読みで、皆さん「日産の方が得する!」なんだと思っているようです。

「協業のための交渉」という、まだ協業するかどうかもわからないニュースを受け、日産の株は3.19%もハネ上がった。一方ホンダといえば1.71%に留まっています。

 日産はこのところ全く明るいニュースが無く、株価高騰のなか、ひとり沈んでいました。

左は日産自動車 内田 誠 代表執行役社長 兼 最高経営責任者、右は本田技研工業 三部 敏宏 取締役 代表執行役社長
左は日産自動車 内田 誠 代表執行役社長 兼 最高経営責任者、右は本田技研工業 三部 敏宏 取締役 代表執行役社長

 気になるのは、どの程度まで踏み込んだ協業をするかです。

 現時点の話合いだと、どうやら電池とeアクスル(モーターから駆動軸までのアッセンブリー)、そしてコネクテッドくらいの範囲と考えれば良いと思われます。いずれも規模が必要なアイテムです。

 この3つ程度なら、お互いの技術領域の摺り合わせも不要。タイヤや変速機と同じく部品として割り切れる。

 そこから踏み込むのはかなり難しいと考えます。というのも、クルマ作りになればお互いの社内要件や言語(CAN)を譲り合わなければならないからです。

 作り替えようとすれば膨大な手間と、譲り合いの精神が必要。日産とホンダの生産規模がさらに減ってきたり、どちらかが経営破綻しそうになるならば話は別ですが、現時点でそこまで踏む込むとは思えません。

 とりあえず困ったところから助け合いましょうということです。

 興味深いのは、今回発表されたプレスリリースの表記。

 記載を見ると、日産が上でホンダが下。ソニーホンダの時もホンダが下でした。

 会社の規模からすれば、圧倒的にホンダが大きい。年間売上高は日産13兆円、ホンダ20兆円、従業員数13万1千人と19万7千人、会社の時価総額も2兆3100億円と9兆4000億円。どれひとつ取ってもホンダです。

 これはどうでもいい話なので、騒ぎが収まったら聞いてみようと思います。

 いずれにしろオールジャパンで戦っていかないと、これからの時代は生き残ることすらできないでしょう。

 こと電動化については、これでトヨタとマツダ、スバル、ダイハツ、スズキのグループと、ホンダと日産、三菱のグループになる。

 もちろん「もう大丈夫ですね」と言える状況ではないものの、戦う準備は揃ったと考えます。

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Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

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