前走車の「エンジンブレーキ」は“ウザい”? AT全盛で知らない人多い!? 逆に「エンブレ」使わない方が危険なワケ

「エンジンブレーキ」を使って減速する場合、ブレーキランプは点灯しません。それを「ウザい」と感じる人がいることがSNSで話題になりました。エンジンブレーキのメリット・デメリットとはどのようなことなのでしょうか。

AT車全盛で“エンブレ”の重要性が忘れられている?

 走行中に減速したい場合、「フットブレーキ」だけでなく、ギアを落として「エンジンブレーキ」を使用する人も多いでしょう。
 
 ただエンジンブレーキで減速するとブレーキランプは点灯せず、これが一部の人からは「ウザい」と感じられるとSNSで賛否両論が飛び交う事態になりました。
 
 では、エンジンブレーキを使うメリットやデメリットとは、どのようなことなのでしょうか。教習所の元指導員I氏に聞いてみました。

MT車では「エンブレ」を使って減速することが多い
MT車では「エンブレ」を使って減速することが多い

 エンジンブレーキはクルマの速度を調整する方法のひとつで、エンジンの回転を落として減速する仕組みで、アクセルを離したり、ギアを1段落として減速効果を得ることです。

 使った記憶がない人でも、上り勾配になればアクセルを踏み込み、下り勾配になればアクセルを緩めるという操作をおこなっていると思いますが、これは無意識にエンジンブレーキを活用しているといえます。

 AT車(オートマチックトランスミッション)では、MT車(マニュアルトランスミッション)ほどアクセルワークだけでエンジンブレーキが体感できないことから、新車で販売されるクルマの9割以上がAT車となった現在、エンジンブレーキの存在が忘れられているようです。

 しかしエンジンブレーキの使用は、クルマやドライバーにとってもメリットのほうが圧倒的に多いといいます。元指導員という経歴を持つI氏も、指導員時代はエンジンブレーキのメリットを何度も説明してきたと話します。

「技術の進化と運転の簡素化によりATが当たり前になりましたが、教習所ではエンジンブレーキの重要性を教わったにも関わらず、どうしてもフットブレーキでの減速に頼る人がいるようです。

 最近のATは非常に進化しており、アクセル操作によってエンジンブレーキをかけることも可能になってきましたし、そもそも『MTモード』は加速というより、上手にエンジンブレーキを活用して走行するための装備です。

 そういった装備を使用せず、『D』レンジに入れっぱなしで走っている人がいかに多いかを思い知らされます」

 SNSで話題となった、エンジンブレーキが「ウザい」「迷惑運転では?」と感じる人の多くが、前走車がいきなり近づいてきた印象を受けているようです。

 ただし「十分な車間距離を取ればいいだけ」や「(前走車を含めた)前方不注意では?」という反論もあります。

「意図的に強力なエンジンブレーキをかけるなどの嫌がらせ行為は『安全運転義務違反』など危険運転に該当する可能性もありますが、通常の原則を目的とした場合は、逆に後続車が『車間距離不保持違反』で摘発される可能性もあります。

 要は前走車がどんな動きをするか予測し、対応するのに十分な車間距離が必要ということです」(教習所の元指導員 I氏)

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