外環道「東名~湾岸」どうなった? 都心スルーの「環状高速」最後の1ピースが「なかなか進まない」理由とは 直結先は「羽田空港かアクアライン」
関越道の大泉JCTから東名方面へ延伸工事が進む、外環道。さらにそこから、首都高湾岸線へ延伸する構想もあります。実現に向けて、話はどこまで進んでいるのでしょうか。
都心郊外一周の「最後の1ピース」
外環道は放射状の各高速道路をぐるりと接続する高速道路です。東関東道・京葉道路・首都高湾岸線の高谷JCTから反時計回りに、常磐道、東北道、関越道と接続します。この道路のおかげで、都心への交通集中を避けて各方面へ移動することができます。
この外環道は現在、関越道の大泉JCTからさらに南へ延伸し、世田谷区で東名に接続するべく、工事中です。
外環道はそれだけでなく、そこからさらに東へ延伸し、首都高湾岸線に接続する構想もあります。こちらは話がどこまで進んでいるのでしょうか。
外環道の「東名~湾岸」延伸については、国や沿線自治体などからなる「東京外かく環状道路(東名高速~湾岸道路間)計画検討協議会」で、実現に向けて話し合われています。
2016年に第1回が開催され、2023年2月で6回目。コロナ禍などもあり、前回から3年8か月ぶりの開催となりました。
それゆえ、第6回は話がそこまで進展せず、「振り返りと社会情勢の変化、前回からの検討状況」などを整理するのがメインでした。
では、今後どう動いていくのか、また第6回から1年が経過して、何が進んだのでしょうか。
計画を具体化するには、まず「概略ルート」を決定する必要があります。外環道「東名~湾岸」の場合、多摩川の北岸ルート(東海JCT接続)か、南岸ルート(大師JCT・川崎浮島JCT接続)の2通りが挙げられています。前者は羽田空港、後者は東京湾アクアラインに直結する格好になります。とはいえ、空港アクセス自体の所要時間は、両者に特に違いが無いと試算されています。
それを決めるのに頭の痛い問題が「川崎縦貫道路」という別の計画の存在です。これは1986年から着手された、国道409号を高規格化する計画です。
これは東京湾アクアラインの延長線として、川崎浮島JCT~殿町ICが2002年に開通して、それっきりとなっています。しかし最終的には、多摩川南岸をさかのぼって、東名の多摩川橋南詰あたりまで伸びることになっています。大師JCT周辺では都市計画道路のスペースがある程度確保されています。
この川崎縦貫道路、「外環の東名ICからの延伸」と非常に近接した計画のため、当の川崎市も2010年から「どちらかに早く一本化して、とにかく計画を具体化してほしい」と要望しています。しかしまだ一本化は実現していません。
第6回の「協議会」でも、この先の課題に「計画の基本的な方針の取りまとめに必要となる検討を進める。また引き続き、川崎縦貫道路の計画と一本化する場合について、整備効果や起終点等についての検討を進める」と書かれているのみです。
さて、その協議会から1年が経った2024年3月4日、「神奈川県渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」の6回目会議が開催されました。
そこで外環道「東名~湾岸」の現状にも触れられました。残念ながら、そこでも上述と同じ文言「方針取りまとめのための検討、一本化する場合の検討」が書かれているのみでした。
とはいえ、1年間何も動いていなかったわけではありません。たとえば、東京都は昨年11月に、例年となる国への計画具体化要望を行っているほか、同都市整備局でも12月、独自に調査業務を発注しています。
同担当部署によると、この調査では、概略ルートの案など、今後の検討に有用な材料を提供できるようにし、都側の考えをまとめるのが目的だとしています。次回(第7回)の協議会に向けて道筋を示す一環とはなりますが、今のところいつ次の協議会が開かれるのかは、会のあいだでまだハッキリしてないといいます。
もっとも、工事真っ最中の「関越~東名」区間自体が、陥没事故や工法変更などの影響もあり開通時期すらまだわかっていない状況です。沿線の取り付け道路の整備など、まだもろもろの準備が必要ななか「さらにその先」に現時点で全力投球する必要性もそれほどないという事情もあるかもしれません。
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