コンパクトカーとは思えない!? 進化したスズキ新型「スイフト」登場!「走り+α」の魅力とは?
新型スイフトの質の高い走りを実感!
パワートレインは新開発となる1.2リッター直列3気筒エンジン(82ps/108Nm)+ISG(モーター付き発電機:3.1ps/60Nm)のマイルドハイブリッドで、軽量化&高効率化されたCVTの組み合わせになります。
動力性能は絶対的な加速力はそれほどではありませんが、ダイレクト感と小気味良さを持つCVTの相乗効果で、スポーティさ感じるレベルです。
マイルドハイブリッドはライバルのような“電動車感”はありませんが、発進時や加速時に背中をスッと押してくれるようなアシストがうれしいところ。
ただし、唯一気になったのは、信号待ちなどでブルブルと明確に伝わるアイドル振動ですが、アイドルストップ機能が頻繁に作動するので良しとしましょう。
フットワークは先代から採用された軽量・高剛性の「ハーテクト」の進化版で、高張力鋼板の採用拡大や構造用接着剤の採用などが行なわれています。
サスペションはスタビライザー強化(フロント)、ストローク拡大(リア)、バンプストッパーの工夫/最適化などが行なわれています。タイヤは185/55R16サイズのブリヂストン エコピアEP150を履きます。
その走りはノーマルの時点で先代のスポーティグレード「RS」を超えるハンドリングだけでなく、プレミアムの世界に片足を踏み込んだ質の高い乗り味に仕上がっています。
ステア系は軽めの操舵力ながらも直結感が高く、フリクションが抑えられた事で滑らかな操舵感を持っています。
ハンドリングは切り始めの応答の良さ、ロールを抑えながらも前輪依存ではない旋回姿勢、ドシっとしたリアの安定感は先代と同様ですが、操作に対してやや機敏な動きだった先代に対して、新型は操作した分だけ素直に動く上にコーナリングの一連の動きに連続性が増した事により、キビキビ感はあるが落ち着いた走りです。
もしかしたら面白味と言う部分では先代よりも薄れているかもしれませんが、高速道路では全長4m以下で1020kgの軽量コンパクトとは思えない直進性の高さと格上モデルも顔負けのドッシリ感が備えられ、ACC+車線維持支援機能(正確で自然な制御)を活用すれば、長距離クルージングも楽勝でしょう。
快適性は、“マッタリ系”でフランス車のようだった先代に対して、明らかに“シャキット系”のドイツ車的なセットアップに変更。硬めのセットアップですが、体幹を鍛えた車体と滑らかな足の動きによって衝撃を上手に丸め込むショックの吸収性の相乗効果により、“いなし”の効いた乗り心地に仕上がっています。
ちなみにシャシ系は先代から踏襲されたアイテムが多いですが、その潜在能力を“使いこなせる”ようになった事で、「軽快なのに重厚」、「硬いのに柔らかい」と言った、背反する性能を両立できたのではないかと筆者(山本シンヤ)は分析しています。
総じて言うと、スイフト開発陣は変化球を投げたつもりですが、出来上がったモデルは直球勝負の正常進化と言えるでしょう。
ただ、これはネガティブな意見ではなく、20年の歳月を積み重ねてきた「スイフトらしさ」は、自然と滲み出てくるのかなとも感じました。
新型は同じスポーティながらも、「わかりやすさ」から「本質的」にシフトした事は大きい変革だと思っており、それこそが多様なユーザーニーズをカバーする「懐の深さ」だと信じています。
価格は172万7000円から233万2000円と若干アップしていますが、トータルで考えれば新型スイフトはバーゲンプライスだといえるでしょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
様々な意見が聞かれるからと全てを1台で対応しようというのが間違いだと思う。
スイスポのように別タイプを販売したほうが良かった