ホンダが新型「プレリュード」発売へ! カッコ良くて運転の楽しいクーペになる!? かつての「スペシャルティカー」はどう進化する?
車両価格は一体いくら? 予想してみた
従来のプレリュードは落ち着いた雰囲気のクーペで、「S2000」や「NSX」のような走行性能を追求するスポーツカーとは異なり、快適性や上質感、ファッション性を重視しました。
そのために「デートカー」(デートを楽しむのに適するオシャレな雰囲気のパーソナルカー)とも呼ばれていたものです。
新型プレリュードも、デザインや走りの性格は従来と同様ですが、異なる点を挙げるなら前述の電動化です。
優れた環境・燃費性能と、内外装のカッコ良さや走る楽しさを両立させるクルマになるでしょう。

新型プレリュードの価格は未発表ですが、e:HEVが470万円くらいに達すると思われます。
「シビックe:HEV」が398万900円ですから、スペシャルティカーとしての内外装を組み合わせると、新型プレリュードは70万円前後の価格アップになるのではないでしょうか。
割高に思えますが、ほかのスポーツカーでは、トヨタ「スープラ」の2リッターターボエンジンを搭載する最廉価グレードが約500万円、2リッターエンジン搭載のマツダ「ロードスターRF RS」にブレンボ製のブレーキなどをオプション装着すると約463万円ですから、新型プレリュードがe:HEVと充実した装備を採用して470万円なら、際立って高価格ではないです。
ただしひとつ不安な要素があります。それは環境技術に取り組んだホンダ車には、短命に終わったり、廃止と復活を繰り返した車種が多いことです。
例えばハイブリッド車の「インサイト」は、初代の生産期間が1999年から2006年、2代目は2009年から2014年、3代目は2018年から2022年という具合で、廃止と復活を繰り返しました。
ホンダでは「初代インサイトはハイブリッドの低燃費を訴求し、2代目は価格を安く抑えてハイブリッドの普及を促し、3代目は上質感を追求しました」と述べていますが、この方法では市場に定着しません。
ユーザーが継続して乗り続けたいと考えても、車種が廃止され、数年後に復活するとまったく異なるクルマに変わっているからです。
先に挙げたホンダeも同様に、日産の軽EV「サクラ」のヒットを見てもわかる通り、日本で電気自動車を普及させるには、セカンドカーとして使えるコンパクトな車種がベストです。
セカンドカーを所有する世帯には、一戸建てが多いために充電設備を設置しやすく、セカンドカーなら長距離を移動しないためにリチウムイオン電池の容量も小さくて済み、そうなると車両価格も安くできます。
ホンダeもコンパクトですが、先進装備を豊富に採用した結果、最終型の価格は495万円に達しました。国の補助金を差し引いて約440万円です。
この価格では売りにくいですが、装備を抑えた仕様を395万円、補助金を差し引いて340万円前後に抑えれば、日産「リーフ」の最廉価グレードと同程度で堅調に売る余地も生じたでしょう。
ほかにも最終型のNSXもハイブリッドに発展しましたが、日本では販売枠が少なく、普及する前に終了しました。
プレリュードも復活させたからには、改良を続けながら長く販売して欲しいです。
クルマを将来に向けて育てることを諦めるのは、大切なお客さまを諦めるのと同じこと。これが今のホンダにとって、改善すべき一番のポイントだと思います。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
































