ガソリンスタンドなのに「給油NG」なぜ!? 予備燃料に役立つ「携行缶」お断りの店舗多数! 「セルフ禁止/取扱厳重化」の理由とは

セルフ式のガソリンスタンドは、ユーザー自身でクルマに給油するのがルールですが、一方でユーザーによる「ガソリン携行缶」への給油については禁止されています。一体なぜなのでしょうか。

急速に規制強化された「ガソリン携行缶」

 セルフ式のガソリンスタンドは、燃料の価格が抑えめな点に加えて、ユーザーが自身でクルマに給油をする仕組みのため、作業に慣れたユーザーであればスタッフのサポートなく手短に給油を完結できる点も魅力です。

 その一方でユーザーによる「ガソリン携行缶」への給油については禁止されています。

 給油作業自体はクルマに対するものとそう変わらないようにも思えますが、一体なぜ携行缶への給油は禁止されているのでしょうか。

なぜ給油したいのに「携行缶」は禁止なの?
なぜ給油したいのに「携行缶」は禁止なの?

 実際にガソリンを携行缶で購入したことのある人はあまり多くないかもしれませんが、例えば農作業機器や発電機を利用する人、あるいは海で水上バイクの乗る人などは、携行缶でガソリンを購入する必要があります。

 しかし先述のように、セルフ式のガソリンスタンドでの給油対象はクルマに限られており、携行缶など持参した容器に対してユーザーが自分で給油することは法令で禁止されています。

 このようにユーザーによる携行缶への給油が禁止されている背景のひとつが、ガソリンが危険物であるため。

 ガソリンは気温がマイナス40度でも気化して可燃性のガスを発生させ、タバコや静電気などわずかな火種によって大規模な火災に発展する可能性があるため、非常に危険な液体なのです。

 そのため給油時はもちろん、移動や保管についても適正な取り扱いが求められています。

 そしてこの取り扱いについて、2020年2月から改正消防法が施行され、免許証などによる購入者の本人確認のほか使用目的の確認や、それらの情報を含めた販売記録の作成が義務付けられました。

 きっかけとなったのは2019年に京都で発生した大規模な放火事件です。この事件ではポリタンクに入ったガソリンが悪用されたことで爆発的な火災が発生し、多くの死傷者が発生しています。

 さらに現在はガソリン購入時の確認や記録のみならず、給油する容器や量に関する制限もあり、例えば灯油用の赤や青のポリタンクにガソリンを給油することも禁止。

 ガソリンを購入するためには、性能試験に合格した「試験確認済証」の記載のある“金属製の容器”を用意し、かつ容量が22リットル以下でないといけません。

 容量が10リットル以下であれば、性能試験に合格した“プラスチック容器”も使用できますが、どちらの場合でも、必ず「性能試験に合格した専用品」を使うことが大切です。

 くわえて一度に運搬可能な量についても法令で定められており、ガソリンを携行缶で持ち運びできるのは乗用車の場合22リットル以下、また適正な容器で貯蔵する場合も40リットル未満までと定められており、超える場合は届出が必要になります。

【画像】「えっ…」知らなかった! これが給油口の 「意外な構造」です(17枚)

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