日産の「本格SUV」復活してた? ニッサン新型「3列SUV」実車展示! 「テラ」と「テラノ」の関係とは
タイで開催された「タイ・モーター・エクスポ2023」で、日産のタイ法人は様々な車両を展示しました。その中に、日本には存在しない日産「テラ」が含まれていたようですが、かつて日本でも販売されていた「テラノ」と何か関係があるのでしょうか。
日産「テラノ」後継機? 日産「テラ」とは
かつて、日産に「テラノ」というモデルがありました。日本においてもヒットしたことを覚えている人も多いことでしょう。
ピックアップトラックの「ダットサントラック」をベースとしたフレーム構造SUVで、ライバルはトヨタ「ハイラックスサーフ」です。
日本での販売時期は初代が1986年から1995年。フルモデルチェンジした2代目は1995年から2002年にかけて。初代は某ハンバーガーショップのCMで、キムタクが店舗へ乗りつけるときに乗っていました。
テラノが日本販売を終了して20年以上たちグローバルで見ても販売している場所はすでにありませんが、実は2018年デビューの中国を皮切りとし東南アジア、中東、アフリカなどでは同じ日産から名前がよく似ているモデルが発売されています。
それが日産「テラ」です。
しかも「テラ」と「テラノ」は名前が似ているだけではないのだから驚き。メカニズムのベースはピックアップトラックの「ナバラ」で、つまりトラックをベースとしたラダーフレーム構造のSUVという成り立ちも同じなのです。
なんだかパラレルワールドのような不思議な感じすら覚えます。
ちなみに「ナバラ」もダットサントラックの後継に相当するモデル。すなわち、テラはテラノと同じポジションであり、テラノの後継的なモデルと言っていいでしょう。
たとえば主要販売国のひとつであるタイランド仕様は、全長4890mm×全幅1865mmのボディに3列のシートと190psを発生する排気量2.3リッターのターボエンジンを搭載。トランスミッションは7速ATです。
2023年3月にタイ仕様へ追加された「SPORT」は、グロスブラックで飾った専用デザインのバンパーやグリル、リアスポイラー、そしてテールゲートガーニッシュなどを装着。
ドアミラーをはじめドアハンドル、シャークフィンアンテナといった細部までグロスブラック仕立てとし、ステルスグレーのカラーリングまで用意することで、まるでNISMOロードカーのような雰囲気です(このテラSPORT自体はNISMOロードカーではありませんが)。
いまの日本では、かつてのテラノやハイラックスサーフのようなピックアップトラックをベースとしたラダーフレーム構造のSUVはマーケットから消えてしまいました。
しかしタイではテラのほか、トヨタからハイラックスをベースとしたSUVの「フォーチュナー」、三菱からは「トライトン」がベースの「パジェロスポーツ」、いすゞから「D-MAX」ベースの「MU-X」、そしてフォードは「レンジャー」をベースとした「エベレスト」を用意するなど、主要メーカーがこぞってピックアップトラック派生のフレーム構造SUVを展開。
その理由は、田舎に行けば荒れた路面の場所があるほか、首都バンコクでも道路が冠水するため悪路走破性が求められること。
さらに、「PPV(Pickup-based Passenger vehicleまたはPassenger Pickup Vehicle)」と呼ばれるピックアップトラック派生型のSUVは乗用車ベース(モノコックボディ)のSUVに比べて税金が抑えられていることなどもあげられます。
テラの現地販売価格は119万9000バーツから155万5000バーツ。日本円にすると約500万円から650万円ほどとなります。
タイは車両価格に物品税が含まれることもあり日本よりも新車価格が高いほか、為替相場が円安となっている影響もあって日本円に換算するとかなり高額な印象です。
いずれにせよ「テラ」はその成り立ちとポジションから「テラノ」の後継モデルと考えて間違いないでしょう。
ちなみに「テラ」という車名の由来は数字の単位ではなくラテン語で「大地」とか「地球」を意味する言葉ですが、日産公式サイトによると「テラノ」は「ラテン語で「大地」や「地球」を表すTerraに由来します」と説明されています。
つまり車名も元をたどれば車名も同じと言ってよさそうですね。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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