470万円超え! 全長3m級の「小さな超高級車」がスゴい! 豪華すぎる内装に「V8爆速仕様」もあった! 激レアすぎる小型車とは

ラグジュアリーモデルの名車を数多く展開してきたアストンマーティンには、かつてきわめてコンパクトなボディを持つ愛らしいモデルが存在しました。どのようなクルマなのでしょうか。

超コンパクトだけど“ちゃんとアストン”です

 アストンマーティンといえば、言わずと知れたイギリスの高級車ブランドです。
 
 優雅なグランドツーリングカーを中心としたラインナップを展開し、007シリーズのボンドカーとしても知られています。

ベースはトヨタのマイクロカー 仕立ては一級品
ベースはトヨタのマイクロカー 仕立ては一級品

 そんなアストンマーティンですから、ラインナップされる車種は大排気量かつマルチシリンダーのエンジンを持ち、優雅なデザインを纏ったボディは大柄なものとなっているのも頷けるところ。

 しかしこれまで販売してきたアストンマーティンのモデルの中に、ひと際コンパクトなモデルが存在していました。

 それが2009年に概要が発表され、2011年から販売がスタートした「シグネット」というモデルです。

 全長3メートルほどの非常にコンパクトなボディに搭載されるのは1.3リッターの直列4気筒エンジンと、従来のアストンマーティン車とは大きく異なる特徴を持ったこの車両。

 そのシルエットからお気づきの人もいるかもしれませんが、トヨタのコンパクトカー、「iQ」をベースとしたモデルなのです。

 とはいえ、ボディパネルでiQと共有しているのはルーフとリアフェンダー、ドアのみと言われています。

 他のアストンマーティンのモデルと共通したデザインのフロントグリルはアルミ合金製で、エンブレム類もエナメル仕上げと、クオリティは他のモデルと遜色ないものとなっていました。

 特筆すべきはインテリアで、シートはもちろん、ダッシュボードやドアパネルなどインテリアのほとんどの部分にリアルレザーが貼り込まれ、ルーフライニングもアルカンターラになるなど、高級車感溢れるものとなっています。

 もちろんこれらの内外装はパーソナライゼーションが可能で、顧客の要望になんなりと応えてくれたのもアストンマーティンブランドの車種であることを物語っていました。

 一方のパワートレインについては、基本的にベースのiQのものを踏襲しており、72kW(97PS)を発生する1.3リッターの「1NR-FE型」エンジンやCVTもしくは6速MTのトランスミッション、そして足回りの形状やチューニングもそのまま。

 ただ、防音や防振に関してはアストンマーティンが独自に手を加えており、車内の静粛性については数ランクアップしていたのはアストンマーティンブランドの意地を垣間見ることができました。

 なお、デビュー時の価格はMT車が475万円、CVT車が490万円とベースのiQの3倍に匹敵する価格となっていました。

 いっぽうで、iQからシグネットに変貌するのにあたり、1台1台職人の手作業によってカスタマイズがなされており、完成には1台につき150時間もの時間を要するというから、むしろ装備内容などを考えればバーゲンセールとも言えそうです。

 ちなみに前述したパーソナライゼーションに対応した稀有な例としては、「V8 シグネット」なる、大型スポーツクーペ「ヴァンテージS」に搭載される436PSを発生する4.7リッターのV型8気筒エンジンを搭載したモデルが知られています。

 これはある顧客のリクエストに応える形で生み出されたワンオフモデルで、ヴァンテージSのパワートレインを搭載するためにバルクヘッドとミッショントンネルを新たに作成。

 さらに前後のサスペンションもヴァンテージSのものを使うためにサブフレームごと移植するという手法が採られており、そのために広がったトレッドをカバーするために拡大されたホイールアーチとオーバーフェンダーを備えていました。

 もちろん駆動方式もFRとなっており、ショートホイールベースのシグネットとの組み合わせは非常にスリリングなものであることは想像に難くありませんが、そんなモデルを創り上げてしまう懐の広さもまた、アストンマーティンの魅力と言えるかもしれません。

アストンマーティン・シグネット のカタログ情報を見る

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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