ド迫力の「爆速“軽トラ”」実車展示! ハヤブサエンジン搭載&過激なシャコタンも!? “軽トラ”カスタムがアメリカで急増中?
アメリカ・ラスベガスで開催されたカスタムカーショー「SEMA2023」。ここでは日本の「軽トラ」をベースにしたカスタムカーが目立ったといいますが、“軽トラ”カスタムがブームとなっているのでしょうか。海の向こうで“軽トラ”が密かな人気を隠している様子をレポートします。
海の向こうで“軽トラ”カスタムがブーム? ド迫力軽トラ実車展示
アメリカ・ラスベガスで、毎年11月に開催される世界最大級のアフターマーケットパーツの見本市「SEMAショー」。2023年10月31日から11月3日まで開かれた今回のSEMAショーでは日本の「軽トラ」をベースにしたカスタムカーが目立ちました。
SEMAショーはSEMA(Specialty Equipment Market Association、米国自動車用品工業会)が1967年より年に一回開催している見本市です。クルマのカスタムやエンジンのチューニングだけでなく、タイヤやホイール、塗装、リペア用品、カーケア用品、カーラッピング、電装品、工具、整備用品など、さまざまな「アフターマーケット」の会社・ブランドが出展していす。
また、カスタムの傾向も開催当初はアメリカらしくホットロッドやオフロード、ピックアップトラックが中心でしたが、ここ十数年は日本車人気のあおりを受け、スポコンやドリフト系に関連する展示も目立っており、その市場規模は全体で476億ドル(約7兆円)に達します。
SEMAショーではアフターマーケットブランドだけでなく、自動車メーカーによる展示も醍醐味のひとつです。東京オートサロンはじめ、日本のイベントではまず見られないようなド派手なカスタムには毎年驚かされます。
エンジン換装といった大掛かりな「ビルド」をはじめ日本メーカーのカゲキな出展は内容も以前より充実しており、ここ近年のビッグ3(フォード、シボレー、クライスラー)による展示の縮小とは対照的な印象です。
アメリカではいま、日本の軽トラや軽バンが密かな人気となっています。軽自動車の規格は日本独自のものであり、またその規格を最大限活用して設計された軽トラ・軽バンも「日本らしいクルマ」として注目されています。
カスタムするのも良し、学校や庭園、サーキットなどの限られた敷地で道具として使うのも良しと、その高い利便性とかわいらしいルックスが人気の理由です。
アメリカは原則、連邦自動車安全基準(FMVSS)に適合しない自動車の輸入を許していませんが、例外規定のひとつとして、製造から25年経過した自動車には適用しないとしています。これが俗に言われる「25年ルール」です。
なので、現在アメリカで一般的に流行している軽トラ・軽バンは基本的に製造から25年が経過した、少し古めの個体となります。また、それよりも新しめの個体は公道で走れる自動車としては登録せず、私有地などでしか運用できない扱いで届けている場合がほとんどとなります。
今回のSEMAショーで最も注目を浴びた軽トラといえばトーヨータイヤの屋外展示「トレッドパス(TREADPASS)」で展示された三菱4代目「ミニキャブ」でしょう。トーヨータイヤは毎年、著名ショップやビルダーたちとタッグを組み、ド派手なカスタムを施したさまざまなカスタムカーを専用ブースで展示しています。
今回、その一台にタイムアタック選手のショーン・バセット氏がカスタムしたミニキャブが選ばれた形となります。バセット氏は「アタッキング・ザ・クロック レーシング」というファクトリーのトップを務めており、これまでにさまざまなタイムアタック用マシンを製作してきました。
今回のプロジェクトとなったミニキャブも例に漏れずタイムアタック仕様となっており、オリジナルのカーボン製エアロパーツが目を引きます。
荷台はロールバーで補強されているほか、座席にはフルバケットシートのサベルトGT3を二脚搭載と、見た目からモンスターマシンの雰囲気をただよわせています。
バセット氏によると、どうせ作るなら「なんちゃってマシン」ではなく、しっかりとした設計にしたかったとのこと。
搭載しているエンジンは現段階では純正の3G83型660 cc直列3気筒エンジンだそうですが、スズキの大型2輪マシン「GSX1300R 隼(ハヤブサ)」に搭載されているような1.3リッター直列4気筒エンジンを搭載したいとも語りました。
また、ヴァイブラント・パフォーマンス製の冷却系統にギャレット製ターボの搭載も視野に入れているとのことで、これからの進化がとても楽しみな一台となります。
ローライダー向けハイドロサスペンションやエアサスペンションの特注製作を手がける「ホッポーズ(Hoppo’s)」は2代目ホンダ「アクティ」を2台展示しました。
片方は1995年式のバン、もう片方は1997年式のトラックとなっており、それぞれのカスタムの方向性も大幅に異なっています。ソリッドグレーの塗装をまとうバンの方は車高をベタベタに下げ、THULE製ルーフラックを頭上に設置した実用性重視のカスタムとなっています。
一方、メタリックレッドのトラックはシルエットフォーミュラに由来する「グラチャン」仕様のような角張ったフェンダーと巨大なリアウィングが特徴的です。荷台にはエアサスペンション用のエアタンクやバルブをマウントしていますが、軽トラとこれら装置の組み合わせはとても新鮮であると感じました。
屋内展示スペースでは真っ赤なダイハツ「ハイゼット」もみつけました。この個体は業務用の巨大な送風機を手がける「スーパー・デューティー・ファンズ」によって展示されました。
ボディタイプは比較的珍しい「デッキバン」となっていますが、ベース車両はもともと消防車両だったとのこと。それにリフトアップサスペンションでハイリフト化、タイヤにはオフロードタイヤを採用し、ちょっとしたアウトドアでも大活躍な仕様へとカスタムされました。
軽トラ・軽バンのカスタムは日本でも人気ですが、それがアメリカ人の手にかかることでまた違った発想のものが誕生します。今回のSEMAショーではそんなスペシャルな軽トラ・軽バンたちが目立っており、アメリカでもこれら車種の人気がじわじわと高まっていることが感じ取れました。
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