なぜ「ほぼ新車価格」? 「33年落ち日産車」が衝撃の高値に! 極上すぎる「R32スカイラインGTS」が豪で登場

イギリスのオークションサイトにおいて約200万円で取引された「スカイライン」とはどのような個体なのでしょうか。

「GT-Rではない」R32スカイラインが高額に!

 2023年10月23日、イギリスのカーオークションサイト「Collecting Cars」において、オーストラリアから出品された日産「スカイライン」が2万1000豪ドル(当日レートで約200万円)で落札されました。
 
 どのような個体なのでしょうか。

「GT-R」じゃないのになぜ高額?(Photo:Collecting cars)
「GT-R」じゃないのになぜ高額?(Photo:Collecting cars)

 Collecting Carsは2018年に創設されたカーオークションサイトです。

 欧州をはじめ、シドニーやロサンゼルス、アブダビなどに拠点を持ち、欧州車や日本車をメインにオークションが開催されています。

 今回2万豪ドルを超えて落札されたのは、1990年式の8代目スカイライン「GTS タイプS」(HCR32)で、走行距離は6万5000キロを走行している個体です。

 8代目スカイライン(R32型)は1989年5月に発売された、2ドアクーペ/4ドアセダンです。

 先代(R31型)ではいわゆる「ハイソカー」として高級志向を目指した路線を一転させ、極めてスポーティに仕上げられたことが特徴です。

 その背景には、当時の日本車が走行性能面で欧州車と大きく差がつけられていたことがあり、日産では「Catch the 944 and GTI」という目標を掲げ、ベンチマーク的な存在に位置していたポルシェ「944」やフォルクスワーゲン「ゴルフGTI」を打倒するべく、「P901活動(P901運動・901運動とも)」という愚直な開発がなされました。

 そうしてシャシ、エンジン、サスペンションなど、あらゆる部分が刷新され、R32型が誕生。同タイミングで登場した「プリメーラ」とともに、日産のなかでも特に名車として語り継がれる存在です。

 また、16年ぶりに「スカイラインGT-R」が復活したことも特徴で、現在の国産スポーツカー人気の中心的存在に位置しています。

 一方で、今回落札されたのは国内外で高い人気を誇るGT-Rや、通常仕様の高性能版DOHCターボモデル「GTS-t」ではなく、普及グレードのGTS タイプSです。

 搭載されるパワーユニットは2リッター直列6気筒「RB20DE型」DOHC自然吸気エンジンで、5速MTを組み合わせ、最大出力155馬力・最大トルク18.8kg-mを発揮します。

 この個体はオーストラリアには2020年8月に輸入されたといいます。

 エクステリアはツヤも十分に残っているグレイッシュライトブルーメタリックのボディカラーをまとっており、33年落ちであることを考慮すると極めて良い状態を保っています。

 またオリジナルの姿を残すリアスポイラーレスのスタイルも、今となっては貴重といえます。

 ワイパーアームに塗装の剥がれはあるものの、ボディの傷は飛び石程度のものしか確認できず、ヘッドライトレンズの状態やドアミラー、ドアハンドル、マッドフラップにいたるまで傷や汚れもほとんど見当たりません。

 ホイールは若干の塗装劣化が見られますが、オリジナルの15インチ12本スポークアルミホイールが装着されています。

 インテリアはステアリングのスレやドアハンドルの白化が目立ちますが、それ以外はダッシュボードの割れやシートの破れ・ほつれなどはなく、スイッチ類の印字も残っており、かなり大切にされていたことが伺えます。

 オーディオは純正カセットデッキが装備され、「アクティブサウンドシステム」もそのまま使用可能なようです。

 エンジンルームもサビなどはなく、「NISSAN TWIN CAM 24 VALVE」のロゴが掲出されているヘッドカバーに塗装の剥がれはありますが、プラスチックやゴム系パーツも黒々としており、定期的なメンテナンスがされていたことがわかります。

 このスカイラインは、42件もの激しい入札合戦を繰り広げた後、2万1000豪ドルで落札。

 人気のGT-RやGTS-tではありませんが、極めてキレイな状態で残っていること、5速MT車であることが評価されたのか、約209万円の新車当時価格とほぼ同一のプライスで取り引きされ、次のオーナーへと引き継がれていきます。

※ ※ ※

 近年は映画やマンガ、アニメなどの影響から日本車の人気が高まっており、その影響を受けて1980年代から90年代のスポーツカーが輸出され、高値で取り引きされています。

 一方で、スポーツカーではない一般的な乗用車も輸出されることは少なくなく、特に国外展開されていない生粋の日本車が現地マニアに人気を博しています。

 なかには、「JDM(Japanese Domestic Market)カスタム」といい、車検ステッカーやナンバープレート、日本語表記のデカールなど、日本で乗られていたままの仕様を再現することが人気のカルチャーとなっています。

 程度や仕様次第では、今回のスカイラインのように新車価格かそれ以上のプライスで取引されることも少なくありません。

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