車の「スペアタイヤ」なぜ消えた? パンクしたらどうする? かつてはほぼ“標準装備”だったのに… 装備されない理由は

近年の新車には、スペアタイヤが装備されないといいます。なぜなのでしょうか。

消えた「スペアタイヤ」 パンクしたらどうする?

 最近はスペアタイヤが装備されていないクルマも増えているといいますが、スペアタイヤはなぜ消えてしまったのでしょうか。
 
 もし走行中にパンクしてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか。

黄色い「スペアタイヤ」 新車から消滅の理由は
黄色い「スペアタイヤ」 新車から消滅の理由は

 クルマにまつわるトラブルのうち、パンクやバースト(破裂)といったタイヤのトラブルは多く発生しています。

 JAF(日本自動車連盟)によると、2022年度のロードサービス出動理由のうち、パンクやバースト、エアー圧(空気圧)不足などタイヤのトラブルは全体のおよそ2割を占めており、こういったタイヤのトラブルはバッテリー上がりに次いで多いといいます。

 特に高速道路では約4割がタイヤに関するもので、シーズンを問わず発生件数の多いトラブルです。

 バーストは空気圧の低下に起因するものが多く、定期的に空気圧を点検すれば防げることも多いのですが、パンクは道路に落ちていたくぎなどを踏んでしまったという原因が多く、トラブルを防ぐのは難しいといえます。

 この時にスペアタイヤをクルマに装備していれば、バーストやパンクしてしまっても自分でスペアタイヤに交換して、近くのタイヤショップや修理工場まで自走することもできます。

 スペアタイヤは、装着しているタイヤがパンクなどによって使えなくなった時、緊急的に使う代わりのタイヤのことです。一時的な使用を目的としているため、長距離や高速(80km/h以上などタイヤにより異なる)での走行はできません。

 大型四輪駆動車など一部の車種は、リアゲートに標準サイズのタイヤを背負っていることもありますが、多くの場合はラゲッジスペースの下に設けられた収納スペースに、標準タイヤよりも軽量でコンパクトな「テンパータイヤ」を装備しています。

 しかし、スペアタイヤの装備は義務ではなく、新車時から一度も使用せず廃棄されることも多いことから、近年ではスペアタイヤを装備していないクルマも多くなっているのです。

 日本自動車タイヤ協会は、使用しておらず見た目が劣化していないタイヤでも、製造から10年経過したら新しいものに交換するよう推奨しており、そうでなくても空気圧など定期的な点検が必要です。

 このように、スペアタイヤは使用機会が少なく点検の手間がかかるものですが、代わりに近年主流になったのが「パンク応急修理キット」です。

 応急修理キットは補修材とコンプレッサーがセットになった小型のものが主流で、くぎやネジが刺さった程度の軽いパンクを修理できます。

 これにより、本来スペアタイヤを積載していたスペースをなくしてラゲッジルームを拡大できるほか、クルマ自体の軽量化や、廃棄するスペアタイヤの減少も期待できます。

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