トヨタの小型トラック なぜ米で「独自の進化」遂げた? アメリカ人の生活支える「ピックアップ」市民権得た理由とは
「ハイラックス/タコマ」の上位モデル「タンドラ」で米国の「聖域」に進出!
初代タコマは、日本仕様がベースだったそれまでのハイラックス(トヨタ トラック)に比べ、より北米市場でのニーズに応じた設計や力強いデザイン・グレード展開が取り入れられていました。
より大型なピックアップトラックを生産する米国のビッグ3(フォード・GM・クライスラーの3社)の牙城を侵食しないよう細心の配慮をしながらも、徐々に米国ユーザーの好みに応じた進化を加えていったのです。
そのため、初代タコマはマイナーチェンジでのマスク変更が多いことも特徴で、米国の広大な大地にも負けない迫力あるスタイリングへ進化していきます。
また後部にもドアを備えた4ドアのダブルキャブもここで初設定されています。
2代目タコマは2004年にデビューしました。
エクストラキャブは、補助席程度ながらも後席を備え、さらに観音開きドアを持つ「アクセスキャブ」に発展。利便性をアップしながら、ボディも大型化されました。
その後2015年に3代目、そして2023年には4代目が誕生しています。
世代を重ねるごとによりアグレッシブな外観を獲得。4代目ではついにハイブリッドモデルも生まれています。
全長が4.3mしかなく、コンパクトだった初代ハイラックスに比べると、タコマはかなり大きくなりました。
最新のタコマでは、最小サイズでも全長が5.3mもあります。
しかもさらにタコマの上には「タンドラ」というフルサイズピックアップトラックまで誕生しています。
これまでGMやフォードの独壇場だった、いわば米国自動車界の聖域ともいえるフルサイズピックアップトラック市場にも、トヨタはついに踏み込んだのです。
当初は、米国の保守的な層などからの強い拒絶感もあったようですが、初代ハイラックスの時代から長く愛され続けてきたブランド力が、その後の市場拡大に対し大きな後押しとなったのは間違いありません。
初代タンドラはそれでも米国メーカーに配慮し、やや小ぶりなサイズ感でしたが、2007年登場の2代目は5.7リッターV8エンジンを搭載し、ライバルと真正面からぶつかるべく大型化を遂げています。
2022年には3代目となり、ランドクルーザー300などと共通する新開発プラットフォーム「GA-F」採用やハイブリッドモデルを設定する一方、全長が最大約6.3mの堂々たるビッグサイズへ発展しています。
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自動車文化は、国の成り立ちによって異なります。
米国で独自の進化を遂げていったハイラックスの歴史は、アメリカの雄大さや、文化の違いを強く感じずにはいられません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
昭和の時代、小型トラックと言えばダットサン。トヨタには対抗する車種がなく、当時提携してた日野自動車の日野ブリスカをトヨタブリスカとして販売。その後ハイラックスが誕生したが、時代は積載量の多いキャブオ-バ型に移り、ハイラックスの国内販売は振るわなかった。その後米国でRV車としてハイラックス4DWが爆発的に売れ、再び国内にサーフとして登場。いわばトヨタ生まれで米国育ち