ホンダ「斬新6人乗りミニバン」がスゴい! ガルウイングドア&ガラス張り天井の「スカイデッキ」とは何だったのか
ホンダは2009年の東京モーターショーで、斬新な6人乗りミニバンを披露していました。どのようなモデルなのでしょうか。
抜群の開放感を実現 ガルウイングドアで楽しさもアピール
国内最大の自動車ショー「東京モーターショー」が、2023年10月の次回より「ジャパンモビリティショー」に名称が変更になり、自動車の枠を超えた新たなショーとして生まれ変わります。
さまざまなニューモデルやコンセプトモデルが披露された東京モーターショーのなかでも、ホンダが2009年の第41回で世界初公開していた「スカイデッキ」を紹介します。
2009年10月24日から12日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で第41回東京モーターショー2009が開催されました。
2009年は、金融危機に端を発した世界同時不況が電機や自動車などの輸出産業にも直撃したことで人員削減が相次いだほか、日本航空の経営危機、GDP(国内総生産)が35年ぶりに2桁減少するなど、日本だけでなく世界的にも良いニュースは少なく、景気も決して良好とはいえない状態が続いていました。
そんななか、展示の規模や会期日程の縮小を余儀なくされるも、東京モーターショー2009では「クルマを楽しむ、地球と楽しむ」というテーマのもと、電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池電気自動車などの環境対応車の多くが世界初公開されました。
ホンダでは、ブーステーマ「ないものをつくれ。」とし、3車種の世界初公開モデル、1車種の日本初公開モデルを含む、四輪・二輪の展示を実施。そのうちの1台がスカイデッキです。
スカイデッキは「6人乗りのマルチパーパス・ハイブリッドモデル」だといい、5ドアのミニバンです。
ボディサイズは全長4620mm×全幅1750mm×全高1500mm、ホイールベースは2885mmです。
エクステリアはフロント先端からテールにかけて流れるような流麗なスタイリングが特徴で、空力とデザインを両立したものとなっています。
特にフロントデザインは、同時に公開の「CR-Z コンセプト」(のちに「CR-Z」として市販化)と共通する、長いノーズや大きなロアグリルが特徴です。
また、フロントドアはイルミネーション付きガルウイングドアを採用したほか、リアドアは車両後部に向かって下がる動作を持つ斜めスライドドアとすることで機能性と楽しさを実現しました。
インテリアは2座シートが3列ならぶスタイルのシートアレンジで、それぞれに薄型のスポーツシートを装備。2列目シートは1列目(前席)の下部に電動スライドで収納されるユニークな方式を採用。3列目は床下に収納され、荷室スペースが広げられます。
ルーフはスカイデッキの名称の通り、広大なガラスルーフを装備することで、抜群の開放感を誇っています。
パワートレインは明かされていませんが、ハイブリッド車であることが公表され、小型で軽量のユニットを採用し、センタートンネルに配置することで低床化・低重心化を両立。広々とした室内空間の実現にも役立っています。
このスカイデッキは直接の市販化こそされなかったものの、2015年から2020年まで国内販売された6人乗りのステーションワゴン「ジェイド」とは、流麗でスポーティなスタイリングやハイブリッド車であること、2座×3列シートという点では共通性が感じられます。
なおジェイドも、2012年4月の中国・北京モーターショーでスカイデッキがさらに発展した印象もあるコンセプトカー「コンセプトS」として出展。
その後、2013年の上海モーターショーで市販版のジェイド(傑徳)に発展した経緯があります。
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コンセプトカーは市販化が叶わなかったものの、このスカイデッキとジェイドのように、後に登場する市販車に一部の機能やデザインが活かされているケースも数多く存在するほか、最新技術の一部は現代と同じ発想でブラッシュアップされ続けています。
59年ぶりに名称が変更されて新たに生まれ変わるジャパンモビリティショーでは、新時代のクルマへ大きな変化をもたらすコンセプトカーの登場に、ますます期待が膨らむばかりです。