なぜクルマのウインカーは「オレンジ色」なの? ブレーキ「赤色」は見やすいから? 法規だけじゃ語れない採用のワケ

大航海時代の船のルールがウインカーの色に影響?

 ウインカーの色がオレンジ色である理由を解き明かすためには、ブレーキランプの色がなぜ赤であるのかが深く関わっているようです。

 赤は信号の「止まれ」の色に代表されるように、危険を表す色として世界中で普遍的に用いられています。

 ただ、人間は太古の昔から赤を危険を表す色として認識していたわけではなく、その起源は大航海時代のヨーロッパにあったと言われています。

 多くの船が海を行き交うようになった当時、夜間に船同士が接触するのを避けるための信号が開発されました。

 信号の色には、できるだけ目立つように色の3原色である緑と青、そして赤を利用することが提案されました。

 しかし、当時の技術では青く発光させることが難しかったことや、青と緑の区別が言語や地域によってあいまいであることなどの理由から、最終的に緑と赤の2色が使用されることになったようです。

 そのなかで、赤は「止まれ」、緑は「進んでもよい」という現在の交通ルールの起源が成立したと言われています。

 ちなみに、当時は直感的に赤が「止まれ」を意味するようになったと考えられていますが、現代の研究によれば、赤は可視光線のなかでも最も低い周波数を持った色、つまり最も遠くから視認できる色であることが科学的に証明されています。

信号待ちで後方からみたホンダe。この後姿…可愛すぎる! なおウインカーは丸形に点灯
信号待ちで後方からみたホンダe。この後姿…可愛すぎる! なおウインカーは丸形に点灯

 赤は「止まれ」、緑は「進んでもよい」という基本ルールは、その後鉄道や航空機にも用いられるようになったことから、さらにその後に登場した自動車でも適用されることはごく自然な流れだったと考えられます。

 このことから、ウインカーの色を考えるよりも先に、ブレーキランプが赤であることが決定していたことがわかります。

 そしてウインカーの色は、赤色のブレーキランプと混同せず、なおかつ後続車がしっかりと視認できる色である必要であることから、赤の近似色であるオレンジ色が採用されたと考えられます。

※ ※ ※

 現在ではほとんどの国や地域でウインカーの色はオレンジ色と規定されていますが、アメリカではウインカーの色に対する規制が少ないことから、ブレーキランプと同色の赤いウインカーのクルマを見ることができます。

 そのおもな理由は、複数の色を使わずにすむことによるコスト削減にあるとされています。

 一方、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によるある調査では、オレンジ色のウインカーを使用しているクルマのほうが衝突事故の危険性が低いという結果も出ていることから、近年ではアメリカでもオレンジ色のウインカーを採用するクルマが増えているようです。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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