中古車の「メーター巻き戻し」はなくなった? “改ざん”激減でも未だにある? 旧車人気の今、注意したいケースとは?
かつて中古車では「メーターの巻き戻し」と呼ばれる改ざんがおこなわれたことがありました。総走行距離を短く見せる悪行なのですが、今でもそういった不正行為はあるのでしょうか。
かつての「メーター巻き戻し」なぜほぼ消滅した?
昨今、クルマ買い取り店の不正行為が明るみに出て話題となりましたが、かつての中古車では「メーター巻き戻し」と呼ばれる改ざんがおこなわれたケースが数多くありました。
メーター巻き戻しとは、総走行距離を表示する「オドメーター(積算走行距離計)」を改ざんして走行距離を短く見せ、中古車の劣化が少ないように見せかける詐欺テクニックでした。
2000年前後まではよくおこなわれていたとされるメーターの巻き戻しですが、現在ではほとんどなくなったようです。ではなぜ過去はよくおこなわれていたのでしょうか。
現役整備士のT氏は次のようにいいます。
「当時販売されていた中古車はメーターもアナログでしたし、特に輸入車では正規輸入ではない、海外で中古車として販売されていたクルマを輸入した『中古並行輸入車』が数多く出回っていた時代でした。
当然、そのクルマの履歴がわかる『記録簿』もない車両が多く、それでいて『走行距離が短い=良質な中古車』というイメージに漬け込み、メーターを外して数字を改ざんし再度付け直す業者がいたという話を聞いたことがあります。
ただし、現在では車載コンピューターにも走行距離が記録され、さらに車検証にも合格時の総走行距離が記載されるようになっており、メーター巻き戻しは見かけなくなりました」
1998年に「車検証に前回車検時の走行距離を記載すること」が義務付けられ、メーター表示値と車検証の記載距離の違いがわかるようになりました。
さらに2001年には「日本オートオークション協議会」が設立され、不正なメーターを取り締まる走行メーター管理システムが運用開始。また2004年には、国土交通省によって「車検証に過去2回の車検時走行距離の記載の義務化」が施行されました(軽自動車は2009年から)。
そして2017年、「車検証に過去の車検時に記録された最大走行距離を記載」する方法へと改められ、メーター交換や修理などで走行距離が減少しても発見できるようになったといわれています。
「同じ年式の中古車であれば、総走行距離が短い車両のほうが状態は良さそうに感じる人も多いでしょう。
しかし実際は、極端に距離が短い中古車はそれだけ乗られていなかった、または短距離ばかりで使用されてきた『シビアコンディション』の可能性もあり、そういった車両よりに多少距離を多く走っていてもしっかり整備された中古車のほうがコンディションとして良好な場合も多々あります」(現役整備士 T氏)
中古車を購入するときに総走行距離を過信せず、あくまでそのクルマの状態を推し量る目安のひとつと捉えておくのが良さそうです。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。