もはや「オデッセイSUV」!? ホンダ「最上級ワゴン」は高級ミニバンの先駆けにも? クロスオーバー仕様もあった「アヴァンシア」とは
これはもはや「オデッセイSUV」! 20年以上も前から誕生していた高級SUV仕様も
4WDモデル「アヴァンシア V-4」は、シリーズのなかでもひときわ個性的なモデルでした。
オーバーフェンダー、ルーフレール、大径タイヤ、アップした地上高などにより、現代でいう「クロスオーバーSUV」的な姿に仕立てられていたのです。
これは現在、世界的に普及している高級SUVの先駆け的存在ともいえます。
ステーションワゴン型高級車という大胆かつ斬新なコンセプトの初代アヴァンシアですが、肝心のコンセプトが少々難解だったために市場では受け入れられず、売れ行きは低迷しました。
シックで高品位なインテリアは自慢だったものの、メッキの大型グリルや加飾といったわかりやすい高級を表現した外観デザインではありません。
こうした高級感やフォーマル感が外観からあまり感じられなかったことも、不振の原因につながりました。
そこでホンダは、2001年にキャラクターの転換を敢行しています。
ボディ下部にスポイラーを配し、専用チューニングのサスペンションを組み込み、車高も15mm落として走行性能をアップしたスポーティグレード「ヌーベルバーグ」を追加。以降は、このグレードが販売の主力となりました。
ほぼ同時期、オデッセイがスポーティな仕様の「アブソルート」を追加設定し好評を博していましたが、同様のスポーティ路線を目指したのです。
しかし、それでも初代アヴァンシアの販売は苦戦。
2003年には、初代アヴァンシアのコンセプトを引き継いだように車高が低い3代目「オデッセイ」が登場したことで、残念ながら生産を終了してしまいました。
同じ頃の2000年、ホンダは初代「ストリーム」を発表しています。
ストリームもステーションワゴンとミニバンの中間的なクルマでしたが、5ナンバーサイズのコンパクトな3列シートモデルというわかりやすいコンセプトを掲げていたために大ヒット作に。
ライバルのトヨタに、フォロワーモデルの「ウィッシュ」を作らせたほどです。
日本には「大は小を兼ねる」という言葉があるように、いざというときに多人数が乗れる3列シートのクルマは、常に人気を保っています。
そのため、ミニバン風の大柄なボディで2列シートが売れにくかった土壌もありました。
※ ※ ※
近年では、トヨタ「アルファード」などの高級ミニバンが「広さを高級車に必要なゆとりの空間に変換する」ことを売りにして、エグゼグティブに愛されています。
そのコンセプトを20年以上も前に具現化した初代アヴァンシアの先見性に、改めて驚かされるところです。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。