リッター210円超えも! 「高速のガソリン」なぜ高い? 競合なくても過酷な環境 安くできない「SA・PAならでは」の理由とは
高速道路のSA・PAで給油する際、ガソリン価格が一般道より高く設定されていることがあります。なぜ、価格差が生じるのでしょうか。
高速SA・PAのガソリン価格が高い理由は
ガソリン価格が高騰しています。このような時、できるだけ安いガソリンスタンドを探したくなるのがドライバーの心情です。
しかしその一方、高速道路のSA・PAで給油する際にガソリンの価格に驚くことも少なくありません。一般道よりひと回り高い値段であることが多いのです。なぜ、このように高いのでしょうか。
ガソリンの価格は、世界情勢や為替レート、輸送コストなど多くの要素によって変動しますが、店頭小売価格は各販売店によって決められており、一般道と高速道路で区別するようなルールはありません。
しかしそれならば、高速道路のガソリンが高いのは、一般道のように客が安い店を探せない、つまり競争原理が働かないからでは……と勘繰りたくなります。しかし実際は、高い価格には理由があるといいます。
高速道路のSAでガソリンスタンドを運営する販売会社は、価格が高くなる背景として、輸送コストやテナント料、人件費などが挙げられるといいます。
「SA・PAのガソリンスタンドは高速道路を通って輸送するので、輸送費が多くかかります。また、SA・PAの敷地に店舗を構えているためテナント料もかかります」
また、SA・PAのガソリンスタンドの多くは、高速道路のユーザーが安心して走れるよう年中無休かつ24時間営業です。このため人件費がかさみ、価格に反映されます。
さらに、「SA・PAの中」という特殊な立地ならではの事情もあります。
一般道沿いのガソリンスタンドは、給油以外にも洗車やオイル交換、タイヤの販売・交換など様々な収入源によって売り上げを確保していますが、SA・PAのガソリンスタンドは給油だけして目的地へ向かう人がほとんどです。
そしてそのガソリンは、というと価格自体に様々な税金が含まれているため、実際の利益はそれほど多くありません。
つまり、ガソリンの給油のみで人件費やテナント料、利益などを稼ぎ出す必要があるため、一般道沿いのガソリンスタンドと比べて、燃料価格を少し高く設定することになるというのです。
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岡山道の下り高梁SA(岡山県高梁市)では2018年3月、赤字が続いていたセルフ式ガソリンスタンドが閉鎖し、2019年3月の営業再開まで給油できない状況となっていました。この場所では過去、2008年から2012年にもガソリンスタンドがない時期がありました。
ここで給油できないと、最も長い距離で、高松道の津田の松原SA(香川県さぬき市)から米子道の蒜山高原SA(岡山県真庭市)までの約183kmにわたり「ガソリンスタンド空白区間」が生じることになります。
現在、この下り高梁SAではガソリンスタンドが営業していますが、時間は朝8時から夜19時までと限定されています。
このようにSA・PAにあるガソリンスタンドは一般道沿いとは異なり価格競争がありませんが、その一方で高速道路特有の事情を複数抱えています。これが比較的高い価格となっている理由です。
ちみなにこの高速道路のSA・PAのガソリン価格は、NEXCO各社のウェブサイトに随時掲載されています。
2023年8月21日時点の一般道を含む全国のレギュラー価格の平均は1リットルあたり183.7円(資源エネルギー庁発表)だったのに対し、8月25日現在のSA・PAのレギュラー価格は184円(道央道上下線砂川SAなど)から211円(米子道上り蒜山高原SAなど)と、全体的に高い水準であることが分かります。
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